NPBに続き、Jリーグも9日、大きな決断を下した。

NPBとの「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第2回会合で専門家チームの延期を推奨する助言を受けた後、緊急の実行委員会をウェブ上で実施。同日夕方、村井満チェアマン(60)が18日を目指していた公式戦の再開を延期することで合意したと発表した。12日の実行委員会で正式に承認される。今後の再開に向け、Jリーグは6段階の意思決定の基準と4つのプロジェクト始動を決定。サッカー復活の日へ、一丸となり態勢を整える。

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断腸の思いで言葉を絞り出した。J全クラブの実行委員とのウェブ会議を終えた村井チェアマンは「3月いっぱいの公式戦延期を決めました。4月3日の再開を目指して全力を尽くして努力していこうと申し合わせた」と表明した。6日の各クラブとのウェブ会議で伝えた4月3日延期の選択肢を軸に議論を重ねてきたが、この日の専門家チームの「延期が望ましい」という中間報告で、再び大きくかじを切る決断を下した。

感染者増加の現状でリスクを最小限にするための準備が万全にできない中では、再延期の判断は致し方ない。基本再生産数(1人の感染者が何人に伝染させるかを表す指標)といった医学的見地からの判断も必要になる。だが「いつ再開してもいいように準備するのが我々の責任」と、来るべき日に備える覚悟を示したうえで、再開に向けての意思決定の基準を示した。

<1>国民の健康最優先

<2>全試合実現の努力

<3>サポーターとの協力態勢

<4>緊急事態宣言など政府判断による無観客試合の実施

<5>感染者が出た場合の対応

<6>日本全体の非常事態による試合運営の抜本的見直し

<1>と<2>はJリーグの理念「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」に基づくもので、今回の判断の下地となった。<4>以降は今後の情勢次第となるが、<3>について村井チェアマンは「これから先はファン、サポーターの皆様にもご協力をお願いするフェーズ(局面)」と説明。不足するマスクの代わりにバンダナやタオルマフラーで口を覆う、座席の間隔を空けるなどJリーグ、クラブ、サポーターが対話して進めていく考え。加えて、Jリーグ内で日程調整、財務、協議運営、物資調達や応援スタイルなどを担当する4つのプロジェクトの立ち上げも決めた。

12日には第3回の新型コロナウイルス対策連絡会議を実施。再開に向けての判断は3月下旬にも下す。日程面について、村井チェアマンは「五輪やIMD(国際Aマッチデー)等々、従前の日程のルールで可能」と4月3日の再開が実現すれば平日に組み込んで週2試合にするなどで対応可能との見解も示した。

質疑応答でファンへのメッセージを求められると、声を詰まらせた。「いろんな意見があるんですけど、皆様をしっかり守っていくためにも頑張っていこうと思います。ぜひ力を貸してほしいと思っています」。フットボールが戻る日を信じ、目尻を光らせながら呼びかけた。【浜本卓也】