日本野球機構(NPB)とJリーグは12日、都内で第3回新型コロナウイルス対策連絡会議を行い、同感染症対策の提言を発表した。

東北大学名誉教授と東北医科薬科大学医学部感染症学教室特任教授を兼務する賀来満夫氏、愛知医科大学大学院医学研究科臨床感染症学教授の三鴨廣繁氏、東邦大学医学部微生物・感染症学講座教授の舘田一博氏の専門家チーム3人の一問一答は以下の通り。

-基本再生産数(感染者1人から生じる2次感染者数)が1を下回る、というのが大前提なのか

賀来教授 1を下回ることが現実にどこまでできるのか、全く見通しが立っていない。1を下回るのは、ほとんど流行がないこと。そうでなければ開催できないかどうかは、もう少し柔軟でよいのではないか、というのが今日の方針。

-これまでは「選手から1人でも感染者が出ると、開催は難しい」という風潮だったが、この提言を見る限りではその場合でも試合が開催できるのか

賀来教授 ケース・バイ・ケースだが、濃厚接触者をしっかりとチェックし、感染者が出ないよう努めるのが大前提。その上で「チームから1人感染者が出たら、すべて濃厚接触か」ということについては、いろんな議論があった。個々のケースを見極めながら、専門家がバックアップしながらやっていこうと。チーム全体が自宅待機になるかについては、個々のケースをしっかりと考えていこう、というのが結論。

-観客席についての具体的な記載がない理由は

三鴨教授 年間指定席は発売済みで、そこのお客さんに「来ないで」というのは、開催できないということ。各チームにより対応が違うということで、あいまいな表現になっていることをご理解いただければ。

-提言内に「流行時には無観客や延期を検討」とあるが、どのくらいの流行を想定した言葉か

賀来教授 現時点で流行ではないかというと、流行時だと思う。流行時と考えているので、今の開催は難しいと伝えている。

三鴨教授 流行時の定義は、我々3人の一存で決めることはできない。3人でもその定義はそれぞれ考えがあると思う。今はクラスター感染が主体だが、私はそれを除いた感染者数が減ってくることを期待している。それもひとつのメルクマール(指標)になるのでは。

-提言内にある「自由席、立ち見席の細分化」とは

賀来教授 できればAゾーン、Bゾーン、Cゾーンなど、ある程度自分がどこに座っているか確認できるように。もし濃厚接触者調査があった場合に、AゾーンとBゾーンではかなりリスクが違うから、細分化して、というのはそういうこと。

舘田教授 感染症リスクを高める3つの要因は、座席が近いこと、閉鎖環境であること、その状況下でのおしゃべり、せき、くしゃみ。その中の1つが座席。距離が近くても、換気がいい状況ならばリスクを下げられるし、会話の時に飛沫(ひまつ)が飛ばない工夫をすればリスクを下げられる。総合的に考えることが提言に盛り込まれている。(続く)