サッカー界でも各国代表のA代表と五輪代表の活動がストップしている。日本サッカー協会で、日本代表の強化や、日本代表監督の選定などを行う技術委員長を務め、現在、J2レノファ山口で監督を務める霜田正浩氏(53)に、長期ブランク時の代表強化策などを聞いた。

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-国際Aマッチデー(IMD)に行われる各国の代表戦も中止になっている

霜田監督 世界中のサッカーが止まっているので仕方ない。今はサッカーより命が大事だし、こういう時に何ができるかで、代表活動が再開した時に差が出るのではないだろうか。

-何をすべきか

霜田監督 (技術委員長を務めていた)ハリルホジッチ監督時代、IMDの合間の1、2カ月の間に何ができるかを突き詰めた。選手とのコミュニケーションが大事で、監督はしょっちゅう欧州に行って、何人もの選手と食事をとりながら自分のフィロソフィーを伝えた。一緒に練習できない時期も会話を絶やさないことが大事だと思っていた。

-欧州には行けなくても、それは今もできる

霜田監督 当然、森保監督はやっていると思う。新型コロナウイルスの影響もあり社会全般で、ウェブ会議が我々の生活に浸透した。これを代表チームに活用すればいい。複数の選手と小グループでもいいし、23人全員をウェブで集めてもいい。欧州組はほとんど家にいるはずだから、時間を合わせて集めることはそれほど難しくないはず。監督のサッカー哲学や選手に求める役割を細かく伝えられる。選手からの意見も広く集まる。代表活動中は練習があるから、じっくりミーティングをする時間が限られるので、今回は危機をチャンスに変えるいい機会だと思う。同じことが五輪代表にも言える。

-技術委員長時代の監督との連絡は

霜田監督 2週間前にハリルホジッチ監督、ザッケローニ監督、アギーレ監督にそれぞれメールで状況を聞いたら、3人からすぐにメッセージがきた。今はみなさんフランス、イタリア、スペインの自宅でゆっくり過ごしている。監督自身も奥さんも、家族もみなさん元気と聞いたので、安心している。

-反町新技術委員長にひと言

霜田監督 ソリさん(反町委員長)は五輪代表(08年北京五輪)を指揮した経験もあるし、Jクラブの監督も長年務めているので、現場のことはよく知っているので、まったく心配はないし、代表をいい方向に導いてくれると思っている。

-レノファ山口は今

霜田監督 13日から休みに入った。休みの今も定期的に選手とスタッフでウェブ会議をしている。選手に伝えることや選手からの意見も聞いて、再開に備えている。

-就任1年目の18年は途中までJ2首位だったが、主力2人を他クラブに抜かれて成績が下がった

霜田監督 実際、18年の開幕戦の11人のメンバーで、今チームに残っている選手は1人もいない。でもそれは悪いことではない。レノファで実力を伸ばせば、J1クラブから声を掛けられるという図式はできている。今季は主力選手を抜かれても、成績に影響しないようなチームを目指している。そのためのウェブミーティングで、全員が同じ方向を向いていることがレノファの強みでもある。

【聞き手=盧載鎭】

◆霜田正浩(しもだ・まさひろ)1967年(昭42)2月10日、東京・豊島区生まれ。都立高島高卒業後、カズ(三浦知良)らとブラジルサッカー留学し、サントスなどに所属。帰国後はフジタ工業などに所属し27歳で引退。10年から日本協会技術委員、14年から技術委員長に就任し、16年に退任。その間、ザッケローニ氏、アギーレ氏、ハリルホジッチ氏を日本代表監督に招へい。18年からJ2山口監督。