日本サッカー協会(JFA)は3日、来年開幕予定としていた女子プロリーグについてのオンライン会見を開き、同リーグの名称が「WEリーグ(Women Empowerment League)」に決まったと発表した。

「ウィー・リーグ」といい、開幕は21年9月で、1年目は6~10チームで開催予定。今後の新規参入は認めるが、当面は降格なしで行う。男子にはなかった最低年俸を設けることも明かした。

JFAの田嶋幸三会長は新型コロナウイルスによる感染拡大が広がる中、女子サッカーへの投資として3億円の予算を残していたことを明かし「投資するものにはしっかり投資する。我慢するものは我慢する。この大変な時に新しいプロリーグを設立していいのか。私たちは今こそ踏み切るべきだという結論に至りました」と説明。11年W杯優勝に続く女子サッカーの躍進にも期待し「このなでしこジャパンを強くする、これを第一に考えています。しかし、それだけではありません。女性のジェンダーイクォリティー、これをもっともっとしっかりしていくことが、なでしこジャパンを強くする、自立した選手の育成につながるんじゃないかと考えています」と力を込めた。

「WEリーグ」のロゴには「・(ドット)」もつけた。元女子日本代表監督の佐々木則夫女子新リーグ設立準備室長は、このドットについて「サッカーボール、日の丸をモチーフにした」とし「さまざまな団体、企業、そういった取り組み、連係を表し、つながるということをイメージしています」と説明した。名称には女子プロサッカー選手という職業が確立され、リーグを核に関わる全員(WE)が主人公として活躍する社会を目指すという思いも込められているという。

参入チームは今年7月末に募集を締め切り、審査の上、今年9月末から10月頭ごろに決定する予定。なでしこリーグに所属していないチームでも審査に通れば参戦可能だという。秋春制を採用したことについて今井純子女子委員長は、世界大会の日程が秋春制に合わせられていることや、外国人指導者を招きやすくすることなどを理由に挙げ「この9月始まりのリーグにチャレンジしたいと思っています。リーグは適切なチーム数までは広げていきたい。最終的には(なでしこリーグなどとの)大きなピラミッドとしてつなげていきたい」と話した。

1チームのプロ契約選手は15人以上を想定しているといい、プロ化による選手年俸については男子にはなかった最低年俸を設定することも明かした。その金額について今井委員長は「大卒後の新卒の数字と考えている」と口にし「まずは応援していただけるようなものが提供できるのかが必要だと思っています」と話した。

また、会見に出席していた、なでしこジャパンの高倉麻子監督は「代表監督としてもそうですし、OGとしても喜ばしいことだと考えています。女子サッカーをみなさんに応援していただく、小さい子どもに勇気を与えるような強い思いを持ったプレーをみせてほしいなと思います」とプロリーグ設立を喜んだ。21年夏に延期された東京五輪後にリーグ戦が開催されることには「やはりリーグが強い国は代表も強いという図がありますので、五輪で結果を出してリーグにつなげていく。今の代表は若いチームですので、1年もらったことはプラスになるんじゃないかと考えています。必要以上にプレッシャーを感じることなく、積み上げてきたものに自信をもってスタッフも選手もやっていきたい」と意気込んだ。【松尾幸之介】