応援は手拍子も禁止-。Jリーグは12日、27日のJ2再開とJ3開幕、7月4日のJ1再開に向け、新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインを発表した。7月11日から観客を入れての開催が可能になるが、観客は歌ったり、声を出したりしての応援はもちろん、手拍子も声を出すリスクを考慮して禁止になった。鳴り物、旗やタオルマフラーを回すことも禁止で「ウイズ・コロナ」の今季はスタンドの応援風景が一変する。

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70ページに及ぶガイドラインに、応援の「新様式」が記載された。Jリーグは7月11日から観客を入れた開催を目指している。応援スタイルも示され「応援を扇動する」「歌を歌うなど声を出しての応援」「指笛」「タオルマフラー、大旗含むフラッグなどを振る、回す」「メガホンの使用」「太鼓などの鳴り物」「ハイタッチ、肩組み」「ビッグフラッグ(客がいない席に掲出する場合は許可)」が禁止に。声には関係ない「手拍子」までも禁止事項に入った。

Jリーグは「手拍子に合わせて声を出してしまうリスクがあり禁止になった。フラッグやマフラーを振ることも、接触のリスクで禁止にした」と説明。罰則規定はないが、静寂のスタンドへ変化するのは必至で、「声の圧」でホーム感を演出してきたサポーターは、新たな応援形式を模索することになる。

また8月1日以降は、アウェー席が用意されることも決まった。リーグでは政府指針に沿い、7月10日以降は超厳戒(椅子の中心から半径1メートル以上の間隔あける、上限5000人または会場収容人数の50%)、8月1日からは厳戒(周囲との間隔を1席程度あけ、上限は会場収容人数の50%)での試合開催を予定している。超厳戒では、アウェー席の販売はなく、J1では最大5000席のチケットはシーズンシート、ファンクラブの会員で埋まる計算。収容人数が増える8月1日以降は、アウェー席が設置され、チケットの一般発売も行われる。

売店も今までとは異なる。超厳戒開催では、場内、場外ともアルコールをのぞく飲料のみの販売で、スタジアムグルメの販売はない。8月1日からは、アルコールをのぞく飲食の販売は容認される。

チケットはゲートスタッフが券面チェックをし、客がそれぞれ半券をもぎるスタイルになり、手荷物検査は客に荷物を開けてもらい「接触」を防ぐ工夫を施す。サポーターもスタッフも「ウイズ・コロナ」の新しい観戦スタイルへと進むことになる。【岩田千代巳】

◆ガイドラインの主な内容

▽各クラブはプロトコルの実行を確認する衛生担当者を設置する。

▽円陣、握手、抱擁、ユニホーム交換をしない。

▽試合開始前にボール、ゴールポスト、コーナーフラッグを消毒。ハーフタイムにもボールを消毒。

▽ボールパーソン・担架要員は、無観客ではできるだけクラブ職員が担当。

▽ベンチは1席空けて座る。入り切らない場合はベンチを増やして対応、または事前に合意した場所で待機。マスク着用(夏は社会的距離を保った上で外してよい)。

▽飲水ボトルの共用は避ける。

▽グラウンドでの唾吐きやうがいは禁止。

▽練習試合の相手は当面Jクラブに限定する。アカデミーまたは特別指定選手でない学生の練習参加は当面見合わせる。

▽練習前後に対面でミーティングを実施する場合は、屋外でマスクを着用し、社会的距離をとった上で短時間で実施する。

▽宿泊は原則1人1部屋。部屋の換気をし温度21度、湿度50~60%を推奨。宿泊施設スタッフとの接触を避け、ビュッフェは個人専用トングでなら利用可。

▽バス利用 移動が2時間以上なら、選手間の距離をあけ複数台に分乗。1時間に3回の換気推奨。