鹿島アントラーズは16日、鹿嶋市とともに「ふるさと納税」でのクラウドファンディングを開始した。Jクラブとしては初の試みで、クラブ経営を助けることがプロジェクト(目的)となる。「試合がなくてもチームを応援したい」というサポーターの声や、支援を申し出るホームタウンの思いを受けて実現したもの。目標金額は1億円。寄付金は初日から600万円を突破するなど、関心の高さを示した。

クラウドファンディングの特設ページには、切実な思いがつづられた。「Jリーグ再開のめどは立ったものの、現在進行形でコロナの影響による大きなダメージを受けていることは事実です」。小泉社長も4月末の決算会見で「10億以上の単位で収入が落ち込む可能性もあると思っている」と話しており、古豪といえど経営悪化は避けられない。特設ページでは昨年度売上金約70億円のうち、リーグ中断でスポンサー、入場料、物販収入で減収の可能性があることを、棒グラフで分かりやすく伝えた。

リターン(お礼)には、新型コロナウイルス収束後のトップチームスタッフによる練習体験や、ホームゲームのVIPヘリコプター観戦プランなど、豪華体験が並ぶ。小泉社長は収入源の確保だけでなく「感動値をどうスタジアム並みにキープできるか」も掲げており、デジタル施策と掛け合わせて解決する方針だ。観戦スタイルの変化に合わせて、ファンへのアプローチもアップデートしていく。【杉山理紗】

◆ふるさと納税 応援したい自治体に寄付ができる制度。寄付をすると自治体の名産品などを返礼品として受け取ることができる。寄付額のうち2000円を除く金額が、所得税および個人住民税から控除される。年収に応じた控除上限額の範囲内で寄付をすれば、自己負担2000円で地域の名産品を楽しむことができる。