新型コロナウイルスの感染拡大で中断していたJリーグがいよいよ再開する。J1は7月4日、J2は今月27日に再開、J3は開幕となる。当面、無観客試合となるJリーグの見方も変わる中、ウイルスと共存しながら楽しむ観戦法に着目。「さあリーグ再開! Jのミカタ」と題し、新しい応援スタイルを紹介する。第4回は川崎フロンターレのサポーター団体・川崎華族に聞く。

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「ウイズ・コロナ」のJリーグの公式戦は、スタンドの景色も一変する。J1は第3節まで無観客開催のリモートマッチで、7月11日以降、観客が入るようになっても、歌う、声を出す、旗やタオルマフラーを振るなど、従来のスタイルは禁止になった。その中で、川崎フロンターレのサポーター団体・川崎華族は、ホームタウンを水色に染める「Paint it Blue」を軸に、街の演出での応援を考えている。

川崎華族の山崎真代表は「スタジアムに行って90分、声を出すだけが応援ではないと思っている。チームが本当に、街の人たちにとって大きなライフワークになっているか、サポーターとクラブが一丸となっているかが試されると思っています」と今季の応援をとらえている。

描くのは、フロンターレ色に染まる街。試合日には街中の家のベランダや店舗の軒に「フロンターレの旗」が掲げられ、スタジアムに行けなくても老若男女が川崎Fのユニホームを着て街を歩く…。街を挙げて「応援」を表現するスタイルだ。サポーターが地域、クラブと協力し、実現に動いている。選手がスタジアムに向かう車中、その景色を見れば、離れていても思いは伝わる。地元の人が、近所で互いに掲げた旗を見て川崎Fの話で盛り上がり、輪が広がることにも期待している。

また、サポーターがチームのグッズを買い、社会的距離を守った上でクラブ公式のカフェや、クラブを支える応援店舗で飲食することも、クラブを支える応援の1つだと考えている。コールリーダーの小俣海人さんは「試合日に、ユニホームを着て外出したり、ご飯を食べに行くだけで試合のようなにぎわいが出せると思っている。僕らが先陣をきって発信できれば」。各方面との交渉で可能なら、チームが勝った際、ホームタウンのどこかで花火を上げ、サポーターが同じ空を見て勝利の喜びを分かち合うアイデアも出ている。

もちろん、スタジアムの演出も大事な要素だ。リモートマッチでは、サポーターが所有する旗や横断幕は掲出できないがクラブ企画の掲出物は可能。クラブとサポーターが協力し、クラブ所有の大きな幕を製作している。また、キックオフ前、サポーターが「川崎市民の歌」を合唱することが恒例だが、リモートマッチのホームでの試合前に「川崎市民の歌」の音楽を流すこともクラブに働きかけている。

山崎代表は「少しでも、フロンターレで街が元気になればいいなと。再開がゴールではない。多くの人がどれだけ再開したゲームと接することで、この状況に対して前向きになれるかが大事。それを伝えるハブ役にサポーターがなれれば」。川崎FはJリーグの調査で10年から10年連続で「地域貢献度1位」になっている。選手が地元の商店街にあいさつ回りをするなど、積極的に地域と交流し、地域から愛される関係を築いてきた。市民とクラブの一体感が特長で強みでもある。通常の応援ができない今、街が一体になりフロンターレを後押しすることで、新型コロナウイルス終息後、クラブとサポーターの絆もさらに固いものになるはずだ。【浜本卓也、岩田千代巳】