日本ブラインドサッカー協会は19日、日本代表のさらなる強化、次世代を担う選手の育成、競技普及の拠点になる専用施設「マルイ ブラサカ!パーク」が東京都小平市の丸井研修センター内にオープンしたことを発表した。

同施設は日本初のブラインドサッカー専用ピッチで、人工芝の長さが違う2面が常設。ユニバーサルデザインのクラブハウスも併設され、通路などには弱視の選手が移動しやすいようにコントラストのある色使いや凹凸をつけるなどの工夫がなされている。

男子日本代表が開催国枠で初出場する東京パラリンピックは新型コロナウイルスの影響で1年延期。選手たちは約3カ月間の活動自粛、在宅トレーニングを強いられてきた。しかし、新たな強化拠点で今月10日から川村怜主将(31)ら4選手が集まって活動を再開。参加選手を増やしながら週2回ほどの体力回復トレーニングを消化中で、7月4、5日には強化合宿を予定している。

日本代表はこれまで都内や千葉県内の公共施設などを転々としながら合宿を重ねてきた。この日、オンラインで会見に臨んだ高田敏志監督(53)は「初めて足を踏み入れたときは鳥肌が立った。欧州のチームから日本代表にグラウンドがないことを不思議がられていたが、スポンサーに提供していただいた」と感激を隠さなかった。川村主将も協会を通じて「専用グラウンドが日本で初めてできたことは歴史的な第1歩。実際に利用してみて、あらためて最高の環境を用意していただいたと感じました」とコメントを発表した。

高田監督は今年の夏に向けて強化プロセスを積み重ねてきたが、大会延期で大きな軌道修正を迫られる。3月に予定された東京前哨戦のワールドグランプリは中止になり、年内の大会出場や国際試合も難しい。それでも「選手には1年延期よりもこの3カ月、動けなかったことが問題。ケガだけはさせないように、フルメニューができる状態を取り戻したい。プラン、ビジョンを持ってやるべきことをやって来年はメダル、できれば金メダルを取りたい」と力強く締めくくった。【小堀泰男】

◆ブラインド(5人制)サッカー 全盲の選手4人と晴眼か弱視者のGK1人でプレー。鈴入りのボールを使い、選手にボールやゴール位置を知らせるコーラーが相手ゴール裏から指示を出す。コートはフットサルとほぼ同じ広さで、ボールが両サイドを割らないようにサイドライン際にフェンスが設置される。前後半20分ハーフ。東京大会出場チームは日本のほかアルゼンチン、ブラジル、中国、タイ、フランス、モロッコ、スペイン。