セレッソ大阪が、2試合の無観客試合(リモートマッチ)へ準備を整えた。

新型コロナウイルスの影響で中断していたJリーグが、いよいよ再開される。C大阪は6月27日のJ3開幕戦のC大阪U-23-ガイナーレ鳥取、7月8日のJ1再開2戦目のC大阪-清水エスパルスの2カードが、本拠地ヤンマースタジアム長居での無観客開催となる。

生観戦できないサポーターの思いは当然、クラブと選手が背負い、戦う。通常はあくまで、観客やサポーター目線での試合進行となるが、今回はちょっとした“微調整”を行った。

2試合とも、スタジアムDJの西川大介氏(43)が、通常の試合と同じように試合前から場内放送を担う。ただ通常の場合、選手が場内の控室にいる時間帯に、試合前の選手紹介のアナウンスがサポーター向けに流され、いつもはその声が選手の耳に届きにくい。

だが、無観客の今回は無人のスタジアムに声を届けても意味がない。選手がピッチ上でアップしている時間にアナウンスし、選手の背中を押す。無観客だからこそ、この微調整でアドレナリンが湧く設定にする。

「いつもは選手に聞こえていない選手紹介のアナウンスを、今回は選手のために放送します。選手にはいつもの雰囲気に近い環境を提供し、2試合とも全力で闘い抜きます」とはクラブ関係者。

試合前からリズムに乗って応援するチャントの音を場内で流し、選手の入場時にはCD発売もされている恒例のアンセム(シンボル曲)を流す。これらは通常と同じ流れで、あとは試合に勝つだけ。無観客で歴史に残る白星を挙げた際も、おなじみの公式ソング「Cerezo(さくら)満開」を流し、インターネット視聴しているサポーターと会場の選手が喜びを分かち合う。

無観客のため、場内では通常はクラブ職員以外のスタッフが立つ関係者入り口などは、クラブ職員がカバーして少しでもスタッフの数を減らす。C大阪特製のフェースシールドを1000個作成し、職員は感染予防も行う。ハーフタイムには、衛生スタッフと呼ばれる臨時の係員が、試合の使用球を消毒する時間も予定しているという。

ちなみにヤンマーは、既にドローンを使って観客席や手すりなどの大がかりな消毒作業も終了。インターネット中継を見ているだけでは気付かない、細部にわたる準備が整えられた。4カ月以上もJリーグが見られなかったが、待望のキックオフまであとわずかとなった。【横田和幸】