川崎Fが東京五輪世代のMF三笘薫(23)の公式戦3試合連続得点で、ルヴァン杯連覇への望みをつないだ。前半6分と同38分に、いずれも1点ビハインドからの貴重な同点ゴールをマークし、後半17分にベンチに退いた。名古屋と引き分けて勝ち点で並んだが得失点差で上回り、1次リーグ突破が決定。今季公式戦の無敗記録も12に伸ばした。ルヴァン杯は8強が出そろった。

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乗っている男の前にボールが弾んできた。1-2の前半38分、MF大島の右クロスがゴール前で弾むと、ファーから入ってきたMF三笘の前へ。「ボールが本当によかった。いるべきところにいられた結果、ゴールにつながった」と、1次リーグ突破を呼び込む同点ゴールを頭で押し込んだ。 三笘が成長一途をたどる。MF長谷川の故障離脱で巡ってきた出場機会を生かすと、公式戦は直近3戦4発。その下地には「危機感」が宿る。「毎試合結果を出さないとスタメンをとられる、試合に出られないという危機感を持っています。長谷川選手が復帰したら分からないし、学君(斎藤)もいる。常に危機感持ってやっているから、結果につながっている」。選手層の厚い川崎Fでの競争の日々が、1年目での好結果につながっている。

勝利への飢えも成長速度を加速させる。三笘が途中交代した9分後の後半26分に、大島が2枚目の警告で退場。10人となったが勝ち越しは許さず、引き分けで連覇への道を切り開いた。だが三笘は「ルヴァン杯は勝ち進むことが大事なので達成できて良かったけど立ち上がりの失点ももったいない。勝つためにやってるので残念。自分のプレーももっと改善できると思う」と厳しい表情で振り返った。今度は中2日、リーグ戦9連勝が懸かる札幌戦に臨む。1年後の東京五輪の出場切符を虎視眈々(たんたん)と狙う三笘が、まだまだ貪欲にゴールと勝利を追い求める。【浜本卓也】