Jリーグ鹿島アントラーズの日本代表DF内田篤人(32)が、24日のガンバ大阪戦で14年半の現役を終えた。試合後、ホームのカシマスタジアムの引退スピーチでは、引退決断に至る苦悩、現役生活を支えてくれた人たちへの感謝、そして愛するサッカーへの思いを熱く語り、サポーターへ別れを告げた。

一時代を築いたアスリートの引退スピーチは、その選手の最後の決意表明でもある。引退決断の理由とともに、人生、哲学、人柄がすべて凝縮されおり、私たちへのメッセージが込められている。

そして、その発表方法もさまざま。06年W杯ドイツ大会後に突然ピッチに別れを告げた元日本代表MF中田英寿は、自らのブログで引退を表明した。そして引退決断の理由について『“新たな自分”探しの旅に出たい』と語った。あらためてそのブログを振り返ってみたい。

 

「“人生とは旅であり、旅とは人生である”

   2006.07.03

俺が“サッカー”という旅に出てからおよそ20年の月日が経った。(中略)サッカーは本当に多くのものを授けてくれた。喜び、悲しみ、友、そして試練を与えてくれた。もちろん平穏で楽しいことだけだったわけではない。それ故に、与えられたことすべてが俺にとって素晴らしい“経験”となり、“糧”となり、自分を成長させてくれた。

半年ほど前からこのドイツワールドカップを最後に約10年間過ごしたプロサッカー界から引退しようと決めていた。何か特別な出来事があったからではない。その理由もひとつではない。今言えることは、プロサッカーという旅から卒業し“新たな自分”探しの旅に出たい。そう思ったからだった。(以下略)」

<29歳。2006年(平18)7月3日のブログより>

※韮崎高(山梨)から95年にJリーグ平塚(現湘南)に加入。98年にセリエAペルージャに移籍し、欧州クラブを渡り歩く。W杯は98年、02年、06年と3度出場。96年アトランタ、00年シドニーの五輪にも出場。