ガンバ大阪の元日本代表MF遠藤保仁(40)が、J2磐田に期限付き移籍することが2日、分かった。期間は今季末までで、一両日中に発表される。約20年間在籍したG大阪との契約も今季限りのため、このまま退団する可能性が高い。一方で元代表主将の宮本恒靖監督(43)は今オフ、契約を2年延長し続投することが確実な情勢。今回の舞台裏を探った。

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遠藤の移籍は必然的な流れだった。ここまで18試合中11試合に出場も先発はわずか3試合。J1単独最多となる通算632(現在641)試合出場を達成した7月を境に、10年ぶりとなる2試合連続ベンチ外など出番が激減していた。

遠藤の記録をリスペクトしていた宮本監督だが、達成後は若手育成にかじを切った。3列目には24歳の井手口や22歳の新人山本を起用。前線からプレスをかけるスタイルも遠藤には合わなかった。新型コロナウイルスによる特例で今季はJ2降格がない。どのクラブも世代交代を推し進めた。

だが、納得いかないのは遠藤だった。後半途中から出場した9月の札幌、名古屋戦は得意のパスから得点を演出。体は動き、結果も出した。それでも序列に変化なし。G大阪に愛着はあったが、プロとして純粋に出場機会を求め、J2で12位に低迷する名門磐田から獲得の打診が届いた。

遠藤も宮本監督も今季限りでG大阪との契約は終わるため、関係者が「遠藤を取るのか、宮本を取るのか」と二者択一を迫った時期もあった。もちろん、2人やクラブとの間に摩擦はなかったが、さまざまな意見があったのは事実だ。

就任3年目の宮本監督は今季、波はあるものの現在7位で1歩ずつチームを成熟させている。今オフは2年の契約延長が確実。継続性も来季の武器になる流れだ。その環境に来季、遠藤が再契約を結んでまで戻ってくる可能性は低い。それぞれの決断を今は尊重したい。【横田和幸編集委員】