川崎フロンターレのMF中村憲剛が、40歳の誕生日を自らのゴールで祝った。1-1の後半29分、昨年11月に手術した左足で決勝点を決め、キャリア初の誕生日での試合でバースデーゴールを決めた。中村の決勝点でJ1の連勝記録を12に伸ばし、11月中の2年ぶり優勝がより現実味を帯びてきた。

中村の左足が、また歓喜を生んだ。後半29分。ゴール前でMF三笘のパスに迷わず左足を振った。復帰戦の8月29日清水戦に続き、今季2点目も手術した左足から。「今年に関して言うと説明がつかない。今日のゴールも清水戦も等々力には神様がいるなと感じている」。しかもバースデーゴール。試合前にFW小林から「点取れちゃいますね」とのメールが届いたといい「めちゃめちゃ狙ってました。小林さんサマサマ。メールがないとこんな貪欲にならなかった」と笑った。

1年前の誕生日は、天国と地獄の境目になった。誕生日の5日前にルヴァン杯を制し、誕生日2日後の11月2日広島戦で左膝を負傷。前十字靱帯(じんたい)損傷、左膝外側半月板損傷の手術を受けた。39歳で迎えた長いリハビリ生活で得たのは、苦しみばかりではなかった。

「人間は回復する生き物なんだなって感じる。けがをするまでに経験してこなかったことをぎゅっと経験できたのは財産。あらためてサッカーを楽しめている」。若き日は想像もしていなかった「40歳で現役」の喜びをかみしめながら懸命にボールを追い、再び神様を振り向かせた。

40歳以上の得点が6人目ということには「レジェンドじゃないですか、みんな。1人神様もいたし」と笑わせつつ、周囲に感謝した。「不惑っていいますけど、惑わずにここからやっていこうと思います」。2年ぶりの頂点へ、迷わず歩を進める。【浜本卓也】

▼記録メモ 川崎FのMF中村が40歳の誕生日に今季2ゴール目を挙げた。J1リーグ戦で40歳以上の選手が得点は史上6人目。また、J1では05年から16年連続の年間2得点以上となり、自身の持つJ1連続シーズン複数得点記録を更新した。2位は94~07年のMF藤田俊哉、99~12年のMF遠藤保仁、07~20年のFW興梠慎三で14年連続。