全国高校サッカー選手権が12月31日に開幕した。前回大会で新潟県勢初の4強入りを果たした帝京長岡(3大会連続8度目)は2日の2回戦から登場。履正社(大阪=6大会ぶり3度目)と対戦する。1、2年生主体のチームを支えるのは主将のMF川上航立(3年)。経験豊富なボランチが巧みなパスワークと運動量でチームを引っ張り、全国初制覇に挑む。

中盤の底に君臨する川上が力強いプレーと味方を鼓舞する激しいげきで勝利をたぐり寄せる。「(現メンバーで)昨年(前回大会)ピッチに立った選手は少ない。選手権独特の雰囲気にのまれないよう、声でもしっかりサポートしたい」。1、2年主体のチームを支える精神的支柱はピッチ中央から360度を見回し相手の弱点を見抜き、長短のパスで試合をコントロールする。「周りの選手の100%の力を引き出せれば、勝ち上がる自信はある」と言い切る。

前回大会は全4試合に先発出場。FW晴山岬(19=J2町田)、MF谷内田哲平(19=J2京都)、MF田中克幸(19=明大)ら全国屈指の攻撃陣をボランチで支え、県勢初の4強入りに貢献した。現チームは昨年とは少しカラーが異なる。堅守をストロングポイントに県大会(5戦16得点2失点)を勝ち抜いた。川上は「昨年より技術や個の能力で劣ることは全員が自覚する。その分、運動量を生かした守備はバージョンアップできている」と言う。

2日の初戦2回戦はJ1湘南入りするMF平岡大陽(3年)を擁する履正社と対戦する。「強い相手と対戦したいと思っていた。1人1人の能力はうちより高いが雰囲気でのみ込みたい」。大阪市出身の川上には特別な対戦ともなる。「トレセンで一緒だった選手もいる。地元には絶対に負けたくない。勝って勢いに乗りたい」。

過去にMF小塚和季(26=J1大分)や谷内田が背負ったエースナンバー14を受け継いだ川上に対し古沢徹監督(35)は「1人で2人分の仕事ができ、ゲームを読む力が抜群」と絶対の信頼を寄せる。高校最後の大舞台へ川上は「自分たち3年は弱い世代と言われ続けてきた。メンバーに入れなかった選手の分も全力でプレーする」と熱い思いを込めて頂点を目指す。【小林忠】

◆川上航立(かわかみ・こうたつ)2002年(平14)9月7日生まれ、大阪市出身。南住吉小1年で大阪住吉FCに入団し、サッカーを始め、中学時代はガンバ大阪門真に所属。170センチ、62キロ。利き足は右。