J1ベガルタ仙台が生まれ変わる。仙台市内の大崎八幡宮で21日、昨季17位からの浮上に向けて必勝祈願を行った。11年3月11日の東日本大震災から10年の節目となる特別なシーズン。8季ぶりに古巣を率いる手倉森誠監督(53)、選手、佐々木知広社長(64)ら約50人が「勝負の神」に今季の躍進、再び「希望の光」になることを誓った。

悪夢の1年だった。昨季はJ1に初挑戦した木山隆之監督(48)の下で、6勝10分け18敗と最下位こそ免れたが17位。コロナ禍の特例で「降格なし」も、例年ならJ2自動降格が決まっていた。さらにホーム1年未勝利、17試合連続未勝利、けが人続出、経営危機、所属選手の不祥事で揺れた。その上で今季は08~13年の6季チームを率いて、11年4位、12年2位と上位へ導いた手倉森監督に再建を託した。

手倉森監督にとって、大崎八幡宮はプライベートでも訪れるパワースポット。初めて仙台の監督を引き受けたときから16年リオ五輪の日本代表監督、18年ロシアW杯の同コーチを務めた際など、大きな節目では必ず参拝してきた。この日は「杜(もり)の都仙台を盛り上げるために頑張りますので、よろしくお願いします」と祈願し、「とにかく1戦必勝。勝ちを目指して戦う姿を披露できるように、けがなく順調に進めばいいと思う」。18日にミーティングと自主トレで始動し、20日には全体練習スタート。25日から宮崎キャンプを行う。

逆襲へ選手たちのモチベーションは高く「ぜひ開幕と同時にその力を発揮してほしい」と期待。「仙台は去年のことがあり『今年はやばい』と思っている人たちを見返したい。進むべき道は『東北の希望の光』になること。『どんな逆境も苦境も乗り越えてみせるんだ』と意志、意欲がにじみでて分かるような戦いを今シーズンは続けたい」。仙台は熱き指揮官の下で悪夢を振り払う。【山田愛斗】