15年ぶりにセレッソ大阪に復帰した元日本代表FW大久保嘉人(38)が、開幕2戦連発となる圧巻の2ゴールを決めた。15年に3年連続得点王に立つなど活躍した古巣川崎Fとの対決。前半5分に右足ミドルを決めると、同22分にもゴール前の混戦を左足で押し込んだ。引退覚悟で復帰したC大阪で、全盛期によみがえったように攻撃陣を引っ張り今季2戦3発。試合は2-3で王者川崎フロンターレに逆転負けした。

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大久保のストライカーのDNAが、よみがえった。前半5分、ペナルティーエリア(PA)手前右でパスを受けると、右足を振り抜いた。GKの頭上を越える弾丸は、ネットに突き刺さった。さらに、同点とされた後の同22分。FKのこぼれ球をDF松田陸が拾う。ファーサイドへのクロスに、DF2人に囲まれた大久保が走り込み、左足で押し込んだ。

開幕の柏戦で左足首を負傷。前日2日にレビークルピ監督は「開幕してからの数試合はより慎重にコンディションを見ないといけない」と説明。出場は微妙だったが、強行先発してJ1通算450試合目の節目で誰も予想できないほどの結果を出した。

川崎F在籍時の15年に、3年連続で得点王に立った。だが、昨季J2東京ヴェルディでは屈辱の無得点。かつての点取り屋の輝きは、失われた。引退の2文字を背負いながら、今季から古巣C大阪へ復帰。開幕から2戦連発の計3ゴール。全盛期の輝きを取り戻した大久保は、柏レイソル戦後に「今日に懸けていた。結果を出したいという気持ちで臨んだ」と決意を明かしていた。

惜しくも王者に逆転負けしたが、後半40分に後退するまで攻撃陣をけん引。前人未到のJ1200ゴールまであと12得点だ。38歳が、新しい歴史を刻む。【南谷竜則】