J1アビスパ福岡DF奈良竜樹(27)が“ど派手”な新天地デビューを飾った。

3日のホーム北海道コンサドーレ札幌戦で、今季鹿島アントラーズから期限付き移籍後、初の公式戦出場。「勝つために試合に出て、やらなきゃいけないところだった」と、CBとして気合十分で攻守に体を張った。

だが、前半30分、相手のロングパスの競りあいに負け、マークしていた札幌FWアンデルソン・ロペス(27)にヘディングで先制点を決められた。それでも意地がある。1点を追う後半7分、今度は左CKから中央で打点の高いヘディングで移籍後初ゴールを奪い、やり返した。

だが、その2分後に自身の寄せが甘く、フリーで打たれて勝ち越された。試合は惜敗だった。

めまぐるしい展開。試合を終えた奈良は「勝ち点を取れなかったのは責任を感じる」とガックリ。初ゴールにも「追いついてたたみかけないといけないのに、1回落ち着いたことで2分後に逆転された。ボールに行けず、ゴールに近い位置でフリーで入れられるのは、あっちゃいけない(こと)」と反省した。

今季はけがの影響もあり「コンディションの問題があって試合に出ていなかった」と、出遅れていた。だが、札幌戦は「勝ちきれず悔しいが、攻撃に特長を持つチームと最初にできたのは、コンディションを戻す上ではいい相手だった」。後半39分に退いたが収穫だった。

リオデジャネイロ・オリンピック(五輪)世代の中心として、本大会出場権獲得に貢献したが、16年リオ五輪直前に負傷し、大会出場を断念した。そこから、川崎フロンターレでは17、18年のリーグ連覇を味わった経緯がある。

名門鹿島からの移籍については「素晴らしいクラブで1年間戦わせてもらい、悩みはあった」と、複雑な思いもあったという。だが「声をかけてもらい必要としてくれた。僕もチャレンジしたいと思い決めた」と、J1昇格元年の福岡行きを決意した。

福岡の長谷部茂利監督(49)は、この日の奈良について「リハビリから上がってきてコンディションは100パーセントじゃないかもしれないが、あれだけのプレーができて良かった。得点も取りましたし、守備を引っ張ってもらうことを期待しています」とたたえる。

昨季J2最少失点だった福岡は、今季7試合10失点と守備に苦しんでいる。対人プレーの強さが武器で、各年代別代表での経験も豊富な奈良が、これから堅守復活のキーマンになりそうだ。【菊川光一】