東京五輪日本代表のMF三笘薫(24=川崎F)が今夏、プレミアリーグのブライトンに完全移籍することが9日、分かった。

21-22年シーズンは、提携先のベルギー1部のサンジロワーズに期限付き移籍する。昨季、ルーキーながら最多得票でJリーグベストイレブンに輝いたアタッカーが、ついに海を渡る。

東京五輪という大舞台を前に、三笘が移籍を決断した。川崎Fは6月末からウズベキスタンでACLを戦っているが、関係者によると、三笘はブライトン移籍を大会前から決めていたという。ただ、日本選手が英国の労働許可証を取得するには、A代表で一定の割合の試合に出場した実績がなくてはならない。五輪世代で活動してきた三笘はA代表経験がないため、1年目はベルギー1部、昇格組のサンジロワーズに期限付き移籍してプレーする。

三笘は川崎Fの下部組織で育ち、トップ昇格を断って筑波大に進んだ。2年生だった17年には、天皇杯でJ1仙台相手に2得点して名を上げた。東京五輪世代の活動にもコンスタントに招集されていたが、在学中は五輪世代のエースといえるほどの存在ではなかった。

転機となったのは、プロ1年目の昨季。コロナ禍で約4カ月の中断を挟み7月にリーグ戦が再開すると、途中出場で次々と得点を重ねた。独特のリズムでとらえどころのないドリブルは、“ヌルヌルドリブル”と呼ばれ代名詞になった。左サイドのアタッカーとして、新人ながら13得点12アシストを記録。川崎Fの最速Vの原動力となった。

今季開幕前には「(昔から)海外でプレーして、W杯に出たい目標があった。『何歳でどこに行く』という目標から少し遅れている」と、大卒選手のキャリア形成の難しさを口にしていた。しかし、日本代表でもMF伊東やMF守田など、大卒でも海外で活躍する選手は増えてきた。三笘にもその可能性は十二分にある。

移籍の前に、まずは東京五輪に挑む。11日のACL1次リーグ最終戦後に帰国し、五輪代表チームに遅れて合流する予定。五輪は「人生でも大きな転換点」だといい、「大舞台で結果を出せるか、出せないかで、今後のサッカー人生も決まる。結果を出せないとそれまでの選手」と考えている。欧州に渡る前に、東京の地から、世界に名をとどろかせる。

◆三笘薫(みとま・かおる)1997年(平9)5月20日生まれ、川崎市出身。川崎Fの下部組織から筑波大に進学、20年に川崎F入り。同年ベストイレブン。今季リーグ戦でここまで、20試合8得点。東京五輪日本代表。178センチ、71キロ。血液型O。

◆ブライトン 1901年創設。南部のブライトンが本拠地。17-18年シーズンからプレミアリーグで戦い、昨季は20チーム中16位。英国人のポッター監督。ホームは約3万人収容のファルマー・スタジアム。

◆サンジロワーズ 1897年創設。本拠地はブリュッセル。歴史ある古豪だが、昨季2部で優勝し、21-22年シーズンから久しぶりに1部で戦う。ベルギー人のマズ監督。ホームは約8000人収容のスタッド・ジョゼフ・マリアン。