日本が誇るテクニシャンが、第2の舞台に立つ。フットサルFリーグのYS横浜に加入したサッカー元日本代表MF松井大輔(40)が14日、横浜市内で入団会見に臨んだ。一時は引退も考えたというが、横浜FCでともにプレーしたFWカズ(三浦知良、54)に背中を押されたこともあり、1歩踏み出す。サッカーとの二刀流挑戦もにおわせた40歳が、フットサル界も華麗に盛り上げていく。

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記者会見に臨んだ松井は冒頭のあいさつで「本当はベトナムでプロ生活を終えようか迷っていましたし、この1年で引退を考えたこともありました」と言った。3シーズン過ごしたJリーグの横浜FCを退団後、昨年末、ベトナム1部サイゴンFCに加入。今夏、契約満了となるまで「引退」の2文字が頭の中にあった。同時に「このままでいいのか」と自問自答したという。

国内外から“サッカー”でのオファーが届く中、フットサルの打診が目にとまった。「(今後)長くないサッカー人生をどう進めばいいか考えた結果、子どもに戻ったようなワクワク感をピッチで表現できるのではないか」と新天地に飛び込む決意をした。キングの後押しもあった。横浜FCでもチームメートだったカズは、かつてサッカーがオフの期間中、エスポラーダ北海道に選手登録し、Fリーグに1試合出場している。「『面白いんじゃないか』と言ってくれて。『難しいかもしれないけど、大輔なら出来るよ』と言ってくれた」。迷うことはなかった。

40歳の目の前には、無限の可能性が広がる。司会者からサッカーとの二刀流は? と問われた。「もともとベトナムで終える(サッカー)人生だったので、人生何が起きるか分からない。二刀流、大谷選手のようになる可能性もあるかもしれないですけど、それは分かりません」と笑った。

フットサルの練習は午前が中心。「時間もある。指導者とか、また違うことも出来る。フットサルで得た知識をサッカーに持って行けるのではないか、将来的にプラスに考えられた」と挑戦し続ける。

鹿児島実を卒業後に京都でプロになり、国内外を渡り歩き、13番目のクラブは自身初のフットサルのチーム。「フットサルを楽しみたい。フットサル界を盛り上げたい。そういう思いです」。日本屈指のテクニシャンが、新たなステージで華麗に舞う。【栗田尚樹】

◆松井大輔(まつい・だいすけ)1981年(昭56)5月11日、京都市生まれ。鹿児島実3年で全国高校選手権準優勝。00年京都に加入し、5年間プレーした後に欧州へ。ル・マン、サンテティエンヌ、グルノーブル(以上フランス)を経てトム・トムスク(ロシア)-ディジョン(フランス)-スラビア・ソフィア(ブルガリア)-レヒア・グダニスク(ポーランド)-磐田-オドラ・オポーレ(ポーランド)-横浜FC。21年1月からベトナムのサイゴンFCに半年間所属した。日本代表では10年W杯南アフリカ大会に出場。全4試合に右MFで先発し、16強入り。国際Aマッチ31試合1得点。夫人は11年6月に結婚したタレントの加藤ローサ。175センチ、66キロ。