次期Jリーグのチェアマン候補に、プロ野球楽天の元社長、島田亨氏(56)の名が挙がっていることが1日、分かった。現職の村井満チェアマン(62)は22年3月に任期満了により退任する。Jリーグはチェアマン人選を「役員候補者選考委員会」で行うが、実質的な選考過程における面接など、外部の人材コンサルティング会社の協力を得ている。すでに、今春から水面下で100人以上の候補者面接を実施。島田氏は総合評価が高く、少人数にしぼられた最終候補に入ったという。新チェアマンは来年1月末に発表され、同3月に就任する見込み。

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06年のドラフト会議で、マー君こと田中将大投手のくじを引き当てた“黄金の右腕”が、これからのJリーグを引っ張ることになるかもしれない。水面下で進み、大詰めを迎えているJリーグの次期チェアマンの人選で、プロ野球楽天の元社長で現在USEN-NEXTホールディングス取締役副社長COOの島田氏が、最終候補に残ったようだ。今春からスタートした候補者の面接は、100人以上を対象に行われ、そこから現在、ごく少人数に絞られている。島田氏とともに、J1札幌の野々村芳和社長、Jリーグの木村正明専務理事らが残っているという。

今後、さらに厳しい調査などを行い、来年1月末には新チェアマンが発表され、同3月から任期2年の新体制がスタートする。新型コロナウイルスの影響で、Jリーグ各クラブの売り上げが落ち、経営面でも苦しい状況に追い込まれている。仮に島田氏がチェアマンに就任した際には、いばらの道を歩むことになる。同氏は楽天の球団創立にかかわり、その手腕で1年目から経営を軌道に乗せた実績がある。厳しい状況からのスタート、難しいかじ取りを求められても、大きな障害にはならないとも考えられる。

来年3月に任期満了に伴い退任するJリーグの村井チェアマンは14年1月末に第5代チェアマンに就任し、4期8年にわたってトップに君臨し続けた。後任については「チェアマン人選は、Jリーグ事務局では一切関知せず、外部に一任しているので、私を含めた事務局の人間は一切分からない」と明言している。Jリーグ顧問弁護士の野宮氏を委員長とし、4年前から契約した、組織・人事コンサルティング会社のコーン・フェリー社を軸に「役員候補者選考委員会」で人選が進められている。

前回、村井チェアマンが再選を果たした時も同じルールで実施されたが、判断基準や採点項目などの明確な説明がなく「密室人選」「村井氏の意向が反映されているのでは」と言われることがあった。さらに個人情報を理由に、チェアマンの座を競った他の候補者の名前を公表しなかった。この点を疑問視し「公益社団法人として、トップの人選にあまりにも公開材料が少ないのは、常識的とは思えない」との声もあった。

Jリーグは今後、外国人枠の問題やホームタウンの規制緩和、クラブ名に企業名を加えるかどうかなど、厳しい判断を迫られる案件を多く抱えている。さらにコロナ禍で多くのクラブやJリーグそのものの、経営安定化が急務となっているなど、チェアマンの決断は、これまで以上に重くなる。野球界で実績をあげた島田氏だが、その経営能力が評価されれば、チェアマン抜てきも、十分あり得る。その他の候補の評価も含め、最終決断のタイミングが迫っている。

◆島田亨(しまだ・とおる)1965年(昭40)3月3日、東京都生まれ。東海大卒業後、87年にリクルートに入社。2年後に退社し、人材サービス会社インテリジェンスの創業メンバーとなり、後に取締役も務めた。04年11月に楽天の球団副社長、同12月に同社長。06年の高校生ドラフトでは「黄金の右手」で4分の1の確率だった田中将大を当てた。07年の大学・社会人ドラフトでは愛知工大・長谷部を5球団競合の末、自称「プラチナの左手」でゲット。08年に球団社長兼球団オーナーとなり、12年に退任。その後、16年まで楽天株式会社で代表取締役副社長など要職を務める。現在は、USEN-NEXTホールディングス副社長COO、ツグイ社外取締役など。