絶対王者が凱旋(がいせん)した。第100回全国高校サッカー選手権で3大会ぶり3度目の優勝を果たし、全国高校総体、高円宮杯U-18プレミアリーグEASTとの3冠を成し遂げた青森山田イレブンが、11日夕に青森市内の同校に帰着。生徒、学校職員ら約400人に迎えられ、優勝報告を行った。

【図解】青森山田・松木玖生プロの角度で決勝導く豪快弾>

U-22(22歳以下)日本代表でJ1東京入団が内定している松木玖生(くりゅう)主将(3年)は「青森に優勝旗を持ってこられてうれしい」と充実感をにじませ、プロ1年目での「開幕戦出場」に意欲を示した。

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青森山田での中学、高校6年間に及ぶサッカー部生活を有終の美で飾った。王者の証し、金メダルを首にかけた松木は「春から目標に掲げていたプレミアリーグ、インターハイ、選手権と無事に3冠を取ることができました。これは選手だけではなく、家族や先生方のおかげだと思います。ありがとうございました」と優勝を報告。滞在先の東京から青森まで10時間近いバス移動だったが「みんなが出迎えてくれて実感がわきました」と、疲れも吹き飛んだ。

最後の選手権で2大会連続準優勝の悔しさを晴らした。「この1年間努力してきたものが実った」と力を込め、「決勝戦は相手のシュートを0本に抑えて大量得点でき、最高の形で終われた」。主将、エースとして「チームで一番貢献したい」と臨んだ今大会は、3試合連続ゴールを含む5試合4得点2アシスト。選手権では高校3年間で初戦から決勝まですべて先発する「皆勤賞」を達成し、大会通算では15試合10得点の好成績を収めた。

また、記憶にも残るスーパーゴールを決めた。準決勝の高川学園(山口)戦、タッチライン際から力強いドリブルでペナルティーエリアに進入。右足でボールを巧みにコントロールしながら相手をかわし、最後は角度のないところから強烈な左足シュートを突き刺した。「やばかったですね。あんなの練習でもやったことないですし、とっさにかわして感覚で打った感じです(笑い)」。自分でも驚くスーパー弾だった。

常勝軍団継承を望む。後輩たちは「打倒山田」を掲げられ「全国制覇は簡単ではないが、それに向けて努力してほしいです」とエール。優勝から間もないが「気持ち的には切り替わっていて、目標は開幕戦に出場することです」。新たな挑戦に向けて気合は十分だ。

▽黒田剛監督(51、高校3冠を達成して)「夏のインターハイ、プレミアリーグ、選手権という形での3冠は、今のこの時代に取るのは本当に至難の業で、達成するのは難しいと思っていましたが、指導者の予想をはるかに超える活躍、精神力、体力と、すべてを兼ね備えた素晴らしいチームに成長してくれたと思います」