開幕11戦未勝利だったヴィッセル神戸が、待望の今季初勝利を飾った。

ホーム鳥栖戦は4-0で制し、連敗を4でストップ。11日が38歳の誕生日だったMFイニエスタが、今季2点目となる先制点を含む3ゴールに絡んで大活躍した。FW大迫も今季初得点するなど、主将に導かれた神戸はついに最下位を脱出した。

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イニエスタの38歳第1号ゴールは、前半わずか2分に誕生した。「酒井が私をうまく見つけてくれた」という横パスが届き、ゴール前で右足を正確に振り抜いた。「大事な局面で、いい仕事ができた」と胸を張る1発は、7試合ぶり今季2点目。11日が誕生日だった主将は「何よりも初勝利がうれしい」と喜んだ。

開幕11試合の990分間で、総得点はわずか5点だった。深刻な攻撃が、この90分間だけで今季最多4ゴール。主将の芸術パスが、MF汰木の2点目をアシストし、FW武藤の3点目まで演出。自信を喪失していた神戸をよみがえらせた。

この試合の6時間前、クラブはファンとの意見交換会を実施していた。成績不振に、三木谷会長が「もう少し補強が必要だった」と異例の謝罪。J2東京V監督だった昨年にパワハラ問題を起こした永井氏が、3月にスポーツダイレクターに就任したことも批判の的になった。勝って、期待に応えるしかなかった。

5試合ぶりの無失点に貢献したDF槙野は、イニエスタと同じ日に35歳を迎えていた。「35歳と38歳。まだまだ若い選手には負けていられない」。今季初得点を奪ったFW大迫も「個人でも結果が出ずに、これをいいきっかけにしたい」。主将の先制点から、すべてが好転した。

就任3戦目で初勝利になったロティーナ監督は「唯一無二の存在が、同じチームにいる」とイニエスタを絶賛し「この1勝は大きな喜びと自信になった」と話す。パリ五輪世代のFW小田も故障から復帰。ようやく神戸の逆襲が始まった。【横田和幸】

○…鳥栖は12試合でわずか7失点だった守備が、神戸に4失点した。5試合ぶりの敗戦に、川井監督は「この1戦で全てがなくなるわけではない。すべてが悪かったわけでもない」と冷静に振り返った。一昨年までC大阪で師事したロティーナ監督と対戦したMF藤田は「敵として仕事できたことは幸せに思う」と、大敗の中にも前向きな姿勢を見せた。

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