サッカー女子の元日本代表で、現在は米国女子プロリーグでプレーするFW横山久美選手(28)は昨年6月、心と体の性が異なるトランスジェンダーであることを公表した。11月には同性婚が容認されている米国で、パートナーのなみさんと結婚したことも発表。動画投稿サイト「ユーチューブ」や交流サイト(SNS)を通じ、積極的に近況を発信する。

18日、所属するゴッサムの拠点であるニュージャージー州で共同通信の取材に応じた横山選手は「サッカー界には自分みたいにFTM(女性として生まれたが男性として生きるトランスジェンダー)になりたいと思っている子は多いと思う。競技をやめず、こういう道もあるよと示せれば」と思いを語った。

幼少期から「自分が女だと思っていなかった。男友達も多かった」と言う。ユーチューブでは20歳を迎えたシーズン終了後に、乳房の切除手術を受けたことも明かした。ただ日本でプレーしていた間は「周囲の目を気にしなくてはいけない」と感じ、踏み切ることができなかった。

転機は米国に移った後の2020年。当時所属していたワシントンを本拠とするスピリットのチームメートとプールに行った際、乳房のない上半身裸の画像をSNSに載せられたことがあった。トランスジェンダーであることを公にしていなかった横山選手が削除するよう頼むと、不思議がられたという。

仲間から「いろいろ隠さなくていい」と言われるうちに「隠しているのは格好悪いなと思った」。当時から付き合っていたなみさんに相談すると「言ってもいいんじゃない」と背中を押された。自らの気持ちとも向き合い、公表を決めた。

勇気ある一歩を踏み出したことで「目に見えない壁がなくなったと思う。自分の気持ちがすごく楽になったし、何かから解放された感じがある」と話す。インスタグラムに投稿した結婚証明書を手にするなみさんとの写真は、周囲からも大きな反響を呼んだ。「米国にも来てもらっていたし、年齢も年齢。ちゃんとしないとな、と思った」と少し恥ずかしそうに振り返った。

人生が大きく動いた米国での生活は3年目に入った。取材の最後、笑顔でこう言った。「自分らしく堂々と生きている。自分はこういう人間ですと示せている」

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