鹿島アントラーズが退場者を出し、数的不利の戦いを強いられたが、アビスパ福岡を無失点で抑え、最低限の勝ち点1を手にした。

鹿島はMF佐野が後半8分、2枚目の警告を受け退場に。今季鹿島に復帰したDF昌子源(30)と植田直通(28)のコンビが最終ラインを死守し、逆に10人の相手を押し込み福岡ゴールを脅かした。

昌子は1月8日の練習で右ひざ内側側副靱帯(じんたい)損傷と診断され、治療期間は約6週間だった。福岡戦で、練習試合を経ることなくいきなり実戦復帰した。

ウオーミングアップでサポーターのアントラーズコールを聞いた瞬間、鳥肌が立った。実戦は約3カ月ぶりだった。試合後、昌子は「パスのズレとか、試合感の不安はあったが想定内でやっていた。気持ちを切らさないと集中して入った。サッカーは楽しいですね。サッカーをやる喜びを感じました」と振り返った。

復帰戦で、後半8分からは数的不利の状況で戦うことになった。コンビを組んだ植田に「おれとお前が崩れんかったら、負けることはない」と声をかけた。「最後は気持ち。メンタルのところで、10人、だから何、と」。

第2節の川崎フロンターレ戦は、10人の相手に逆転負けを喫した。その悔しさを「いい経験」で済ますつもりはなかった。10人になってもあきらめず、昌子と植田が前線を押し上げ、福岡を押し込んだ。勝利にはつながらなかったが、鹿島の「勝利のメンタル」は見せつけた。

昌子は「勝てなかったけど(数的不利で)押せ押せの雰囲気は1つ前に進んだ証拠。川崎さんから学んだ姿勢。素直に見習うべきことだった」と話した。

90分を戦い「体的な疲れは少なからずあるが、ちょっとした試合感のズレ、想定内の出来事が想定通り起きたのでパニックになることはなかった。このタイミングで使ってくれた監督の信頼に応えたかった」。今後、昌子と植田のコンビが「強い鹿島」復活を導く。