清水の「背番号10」は準備万端だ。8日にホームで開幕戦(対大分)を迎える清水のMF藤本淳吾(23)が、4日の練習後、居残りでFK練習を行った。納得いかなかった昨季を糧に、開幕前の練習試合で8戦5得点と絶好調だ。開幕戦では、昨季は1得点に終わった直接FKでのゴールで、清水を3年連続の開幕戦勝利に導く。

 開幕を4日後に控えたこの日も、藤本はFKを蹴り続けた。全体練習後、ゴール正面約20メートル付近に壁を5枚、立たせた。今季からJリーグ公式球が変わることもあり、感触を確かめるようにボールを蹴り続けた。ほぼ毎日行っている“儀式”を終え「いい状態が続いています」と心地よさそうに汗をぬぐった。

 今年にかける意気込みは半端ではない。「去年は納得いかないシーズンだったので」と話す藤本の昨季リーグ戦は7得点。直接FKは1点だけで、同じ左利きで桐光学園高(神奈川)の先輩である中村俊輔(セルティック)2世といわれるだけに「もっと入れるチャンスはあった」と満足できなかった。

 だからこそ、オフでも体がうずいた。1月に行った新婚旅行先のスペインとイタリアにも練習着を持参し、宿泊先のジムで汗を流した。その成果は既に、練習試合8戦5得点の数字となって表れている。

 開幕戦でホームに迎え撃つ大分は、昨季のファウル数がリーグ5位(647)。長谷川監督が「(守備を)ガチガチにくるのは分かっている」と話すように、守備を固めてくると予想される。そうなればFKは絶好の得点機となる。チーム始動後も時間を見つけては「強く踏み込み、しっかりボールに当てる」というテーマでFKに取り組んできた。

 「開幕戦は(FKの)チャンスと思う。勢いに乗れるよう、必ず勝たないといけない。早くやりたい」と藤本。準備万端の背番号10が、FK弾でタイトル奪取への第1歩を刻む。【浜本卓也】