<ナビスコ杯:名古屋1-0神戸>◇予選リーグA組◇23日◇ホムスタ

 名古屋がFW巻佑樹(23)の一撃で、アウエーで神戸を1-0で下しナビスコ杯3年ぶりの勝利を手に入れた。巻は後半40分に得意の頭で、値千金の決勝ゴール。ナビスコ杯は勝利に見放され、05年6月11日清水戦(日本平)以来、実に14試合ぶりの白星となった。20日同杯京都戦(瑞穂陸)に0-1で敗れていたが、連敗も阻止。主力を欠く布陣で、大きな勝ち点3をつかんだ。

 大好物に飛びついた。手ごたえ、いや“頭ごたえ”は完ぺきだった。スコアレスドローがちらつき始めた後半40分。巻がDF阿部の長いクロスを右のこめかみ付近でヒット。ゴール左隅に突き刺した。

 「アベショー(阿部)はボクの大好きなボールを知っているんで、大好物が来ました」と巻。泥臭く、前に出ながらDF陣に競り勝って決める巻らしさ満載の1点が、押され気味の試合を勝利へと変える決勝点になった。

 日本代表FWの兄誠一郎(27=千葉)と同じく「利き足は頭」というほど、こだわりを持つヘディングで決めた値千金の一発は、昨年4月11日ナビスコ杯鹿島戦(カシマ)以来、約1年ぶりのプロ2号。鹿島戦は左足、負け試合での得点だったが今回はこだわりの頭、それも決勝弾。「とにかくうれしい。チームが勝ったことが1番」。前日22日にプロA契約を結んだ。一人前のプロ選手として自ら祝砲をあげた。

 今季3戦負けなしと好調神戸に対し、名古屋はGK楢崎、FW玉田を日本代表で欠き、DFバヤリッツァが故障欠場。FWヨンセン、MF中村を温存させたストイコビッチ監督は、始動から一貫して取り組む「4-4-2」ではなく「4-2-3-1」の布陣を敷いた。立ち上がりから神戸の圧力を受け苦戦したもののGK西村とDF陣の奮闘で無失点で試合を運び、FW巻の一撃につなげた。

 押されながらも耐え、一発で試合をものにするたくましさは、昨季はなかった姿。「アウエーで勝てて満足している」と同監督。ナビスコ杯では3年、実に14戦ぶりの白星。15日浦和戦で埼玉スタジアム未勝利を5で止めたのに続き、ピクシー名古屋がまた1つ、負の連鎖に終止符を打った。【八反誠】