<J1:大宮2-0大分>◇第5節◇5日◇NACK

 見たか、これがサラリーマンパワーだ。大宮のMF斉藤雅人(32)がJリーグでは自身初の1試合2ゴールの大活躍でチームに今季2勝目をもたらした。

 前半43分、こぼれ球を迷わず狙った約20メートルのミドルシュート。鮮やかにサイドネットへ吸い込まれるが、斉藤は「どこに入ったか…見てませんでした」と、極度の興奮状態。後半29分にも味方シュートがポストにはじかれたところを強烈にけり込み、試合を決めた。

 NTT東日本からNTTスポーツコミュニティーへの出向社員。試合後の言葉が衝撃的だった。「これで日当つきますね。たぶん、500円くらいです。ナイターなら残業代で500円から1000円くらいですけどね」。やれ移籍金が数億円だ、年俸が数千万だと言われるご時世に「500円」の日当でこれだけさわやかに笑えるのがすてきだ。

 インタビュー中も両手を後ろで組み、場違いな質問にも丁寧に答えた。「プロの道もありましたが、僕はこのやり方がよかった。楽しめますし。そろそろ引退も近いですけど、サッカー辞めても会社でがんばれますから」。

 ちなみに肩書は?

 「僕はヒラです、ヒラ。一番下ですよ。それじゃあ、お疲れさまでした」。最後まで礼儀正しく振る舞うと、きちんと自分のバッグを抱え、ファンが待ち構える出口へ。サラリーマンJリーガーはあくまでもさわやかだった。【井上真】