川崎Fの関塚隆監督(47)が24日、体調不良を理由に辞任した。1月の健康診断で指摘された不整脈が悪化し、4月8日の練習後に目まいを訴え9日に入院。22日に出た検査の結果、高木チームドクターから監督業の継続は困難という判断が下され、翌23日に無念の辞任を決断した。後任にはOBで、前身の富士通川崎時代の96年からコーチを務めている、高畠勉ヘッドコーチ(39)が昇格した。

 涙ぐみ、真っ赤に腫れた目が無念さを物語っていた。川崎Fを04年にJ2優勝とJ1昇格、そして06年には2位にまで躍進させた関塚監督が、川崎Fを去った。午後3時の練習前にクラブに現れた関塚監督は、ロッカールームに選手を集め、体調不良による辞任を告げた。その後、会見し「問題なければ今週から現場に復帰できればと考えていた。今年はやり切りたかった気持ちが強く残念」と声を絞り出した。

 今年1月の健康診断で発覚した不整脈が、辞任の引き金となった。高木ドクターと相談し、W杯アジア3次予選でリーグ戦が中断する6月に再度検査を受ける予定だった。ところが8日の練習後に目まい、頭痛といった自覚症状が出て翌9日に入院。17日に退院後は自宅療養を続けていたが、22日に出た検査結果を受け、高木ドクターから出た答えは「これ以上(監督業を)続けるのは非常に危険」というものだった。翌23日に武田社長らフロントに辞意を伝え、受理された。

 昨季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で8強に進出もリーグ5位、ナビスコ杯準優勝、天皇杯4強と初タイトルに手が届かなかった。今季はタイトル獲得を目標に掲げたが、開幕前に着手した新布陣が機能せずチームは不振。その中、FWフッキの退団など混乱が続いた。

 その心労に加え04年の就任後、休みなしで深夜まで対戦相手を分析する日々で、疲労が蓄積した。現在は不整脈が繰り返し起こり、脈拍は小走りしているのと同レベルまで上がり頭痛が続いているという。

 日常生活に支障はなく、完治すれば現場復帰も可能という。「この先、どこで良くなるか見えないところがある。自分の体を戻し、もう1回指揮を執れる体をつくるのが最優先」と関塚監督は将来を見据えた。しかし「関塚色」に染まり、強豪に名を連ねるまでになった川崎Fにとっては、ショックと損失は計り知れないほど大きい。【村上幸将】