千葉がイングランド代表FWマイケル・オーウェン(28=ニューカッスル)獲得に動いていることが12日、分かった。アレックス・ミラー監督(58)体制の目玉として、01年の欧州最優秀選手をリストアップ。オーウェンは現在クラブとの契約延長交渉が難航中で、今夏は獲得の好機とみられる。千葉はすでに、複数の代理人を通し接触を試みている。交渉が進展すれば、本人とパイプを持つ指揮官も出馬させる構えだ。

 ワンダーボーイ獲得へ、名門が本気になった。千葉は開幕直後から、セカンドストライカータイプの補強候補を多数リストアップ。その中から、ニューカッスルとの契約延長交渉が難航中の、イングランド代表FWが浮上した。複数のJリーグ関係者によると、千葉幹部は12日までに複数の代理人に、獲得条件についての調査を依頼。オーウェンの代理人、トニー・スティーブンス氏サイドとも、接触を試みているという。

 昨オフには、MF羽生ら日本代表クラス5人離脱の代償として、10億円以上の移籍金を手にした。資金があるにもかかわらず、開幕後のチームの低調を受けても、補強の動きをみせなかった。しかしここに来て、ミラー監督招聘(しょうへい)に続くサプライズ。欧州の移籍市場が解禁になる7月を見据え、あえて沈黙を保っていたものとみられる。

 オーウェンに対しては、すでにマンチェスターUが約15億円の獲得資金を準備している。競合するには、巨額の資金が必要だ。だがメリットはそれ以上に大きい。日本でも人気のオーウェンは、集客やスポンサーを爆発的に増やすことが確実。クラブ周辺にも、膨大な経済波及効果が望める。フクダ電子アリーナに近い蘇我駅周辺で、サッカーと連動した再開発を目指すメーンスポンサーのJR東日本にとっても、オーウェン獲得資金は回収が計算できる先行投資になる。

 くしくもリバプールは、19世紀半ばに工業地のマンチェスターと鉄道でつながれ、産業革命に寄与した港街。港湾都市千葉を本拠とし、JR東日本がバックアップする千葉とは共通点が多い。リバプール出身のミラー監督、同地で世界のスターへ駆け上がったFWオーウェンのタッグは、地元とともに発展を目指すクラブの象徴としてうってつけだ。

 オーウェンにとって、日本でのプレーはイングランド代表落ちにつながるとの見方もあるが、問題はない。11日には月末の親善試合に向け、同代表メンバーが発表されたが、その中にはロサンゼルス・ギャラクシーMFベッカムの名前もあった。欧州選手権予選敗退の同国代表は、すでにW杯を目指した選手選考を開始。つまりサッカー不毛の地米国でプレーするベッカムも、2年後のW杯構想に入っているということだ。オーウェンも安心して、日本でプレーできる。

 現在リーグ最下位の千葉だが、ミラー監督は96-97年シーズン半ばにコベントリーに招かれた際に、残り19試合で勝ち点32を獲得。合計42ポイントで、見事プレミア残留に導いた実績がある。さらにワンダーボーイ獲得の「ウルトラC」を決め、CHIBAが上位クラブに猛反撃を開始する。