Jリーグ関係者の不祥事やトラブルが相次ぐ中、昨季王者鹿島で「飲酒運転」が判明した。鹿島は20日、MF大道広幸(20)が18日早朝に茨城県神栖市内で酒気帯び運転をしたとして、同乗していたMF船山祐二(23)とともに謹慎処分にしたことを発表した。2人とも21日のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)ナムディン戦のため、ベトナム遠征に帯同していたが、チームを離れて20日に帰国。またしてもサッカー関係者に衝撃が走った。

 大道の酒気帯び運転と船山が同乗していた事実は、2人の申告で19日の練習後に判明した。ベトナム滞在中だったが、クラブは即座に緊急帰国と謹慎処分を決断。2人を同日深夜発の便で帰国させた。

 一夜明け、大東社長は「飲酒運転は反社会的行為であると認識し、今回の件は許されるものではない。選手教育を徹底してきたつもりが、申し訳ございません」と謝罪のコメントを出した。

 鹿島によると、2人は17日の柏戦後に神栖市内で飲酒。代行運転でカラオケ店に移動し、帰宅の際は代行運転業者の営業が終了していたため、大道の運転で帰宅した。翌18日午前4時ごろに同市内の飲酒検問で、大道から規定を上回るアルコール値が検出された。2人は事実をチームには報告せず、同11時にはACL遠征でベトナムへ出発した。

 2人は今回の遠征では、中盤の貴重なバックアップだった。それが出発日の早朝まで飲酒した末の不祥事。鈴木満取締役強化部長は「大事なACLを前に、頑張ろうという時の出発の朝に、そういうことをしたのは裏切り行為でもある」と表情は険しかった。

 今年2月にはJ2仙台の4選手がキャンプ地で酔って車を破損した。3月にはJ2水戸の宮田前社長が前年8月に飲酒運転を起こしていたことが発覚し、辞任した。そのたびに注意を呼び掛けてきたが、防止できなかった。鹿島では過去サポーターとのいさかいなどはあったが、反社会的な不祥事はなかった。昨季王者、国内通算11冠の誇りも踏みにじられた。

 謹慎は暫定的なもので、帰国後に協議した上でJリーグへの報告も経て、処分を決定する。鈴木取締役は「個人的な見解」と前置きした上で「解雇は考えていない。まだ20歳だし、反省させて更生させることが大事」と話した。しばらくは謹慎となる見込み。ただオリベイラ監督は規律に厳格で、この日も「この件についてはしゃべりたくありません」と怒りを押し殺した様子。失った信頼を取り戻すのは簡単ではない。

 17日には、浦和-G大阪戦でサポーター間の「衝突」があり、世間を騒がせたばかりだった。その3日後に、今回の不祥事が明らかになった。15日に15周年を迎えたJリーグは、信頼回復が急務になった。