移籍交渉でチームを離脱していたコンサドーレ札幌のFWダビ(24)が一転、チームに残留することが1日、決まった。カタールリーグの強豪アルサードと移籍を前提とした話し合いのため、24日に北海道を離れ、現地入りしていたが、交渉が決裂。この日、札幌・宮の沢で行われたチーム練習に合流した。クラブ側は、27日ホームFC東京戦の敗戦など、ダビ不在によって被った損害賠償をアルサードに請求することを検討する。

 突然いなくなったと思ったら、突然戻ってきた。ダビが7日ぶりにチーム練習に合流した。ここ数日の移籍騒動も何事もなかったように、午前、午後の2部練習をすべてこなした。中東の金満クラブに移籍するものとだれもが思っていたが、ダビの口からは「契約が残っている限り、コンサドーレで試合に出場する」とあっさり残留表明が飛び出した。

 この日午前、カタールのアルサードとダビの代理人から相次いで契約不成立を知らせる連絡がクラブに届いた。アルサードの要望により、大事な戦力のダビを離脱させただけに、移籍は確実と見込んでいたクラブにとっては、寝耳に水の話。ダビ不在の間、J1残留のかかった9月28日の東京戦は1-2で敗れた。しかも、シーズン途中の移籍による違約金を含め、3億円以上と推定される多額の移籍金もご破算になった。

 決裂の理由は、ダビの説明によるとアルサードのフロントと現場の考え方の違いで、金銭面ではないようだ。三上強化部長は「ダビが契約金を上げたということは聞いていない。こちらとしては移籍はダビ本人の意思で決まると理解していた」とアルサードに不快感を示した。ダビは離日前日の23日に三浦監督、三上強化部長に了承を得て、カタール入りしており、個人に罰則を科す予定はない。

 クラブは移籍金も入らず、試合に敗れたとあって、かき回したアルサードに損害賠償を請求する構えだ。三上強化部長は「具体的内容については弁護士と相談して決めたい」と泣き寝入りするつもりはない。しかし、国際サッカー連盟の規定違反に当たるわけではなく、道義的問題とあって、アルサードがすんなり受け入れるかは微妙。ダビは今季中は札幌でプレーするが、J1数クラブが注目しており、このオフに再び移籍話が浮上する火種は残っている。