日本サッカー協会の犬飼基昭会長(66)が9日、全国9地域を訪問する一環として札幌を訪れ、道協会と会議を行った。同会長が実施を目指す、10年からの秋春シーズン移行にかんしては、金銭的援助を含めて協力することを伝えた。これを受け、道協会側も導入の際に起こりうる課題について、前向きに検討する姿勢を示した。「雪国だから無理」の考えから「雪国でやるための工夫」と発想を変え、道サッカー界にとっての難題に立ち向かっていく。

 冬期間の試合を余儀なくされる、秋春制へのシーズン移行。北国にとっては致命的と思える提案にも、道協会が動揺することはなかった。「検討している段階でハナからダメじゃなく、どういうふうに対応できるかを考えないと」。日本協会の犬飼会長からじかに考えを伝えられ、道協会の出口明副会長はそう前向きに話した。

 犬飼会長が全国9地域を回り、関係者と意見を交わす会議。北海道では当然、秋春制についての話が持ち上がった。「私も今までは無理なこと言ってと思っていた」。出口副会長をはじめ道協会の思いは、実際に対話し変わった。冬場の練習場に屋根をつくる際の資金的援助、「寒冷地については人工芝の使用も認めたい」と特例案も示された。「北海道の事情は承知してもらっていると感じた」と出口副会長。それだけに、導入された場合に備え準備は進めていく。

 札幌ドームで冬期間に試合をする場合、芝ステージは養生や除雪の問題から使用は難しい。人工芝を敷く場合、野球と同じわけにはいかず、新たに購入してもコストだけでなく、設置時間や保管スペースなど問題が残る。またコンサドーレ札幌の通常練習の場はどうするのか、他のカテゴリーの実施日程など、問題は山積みだが検討はしていく。

 札幌の練習場について、道協会としての現構想を明らかにした。札幌・東雁来に人工芝サッカー場などを構える札幌アミューズメントパークに屋根を設ける、または新設する考えがある。ドームの人工芝も形状を再検討するなど、関係各所と調整しながら対策を練っていく。

 犬飼会長はこの日、10年からという実施について「こだわってはいない」と柔軟な姿勢を示した。「どっちのシーズンがいい悪いじゃなく、工夫だけはしていかないと」と出口副会長は言った。何年かあとに来るかもしれない舞台に向け、備えは怠らない。