大分と千葉への「処分」はなかった。日本協会は14日、東京・文京区のJFAハウスで理事会を開催。天皇杯4回戦で主力を欠いて敗れたとされる大分と千葉に対する処分を下すはずだったが「規定がない」(田嶋専務理事)という理由で犬飼基昭会長(66)の「厳罰を下す」という発言は撤回されることになった。

 犬飼会長は、大分と千葉を問題視し、10日の常務理事会後には「県予選1回戦から出場という処分も考えられる」と厳しい表情で話していた。天皇杯に罰則規定がないために処分は断念したが、Jリーグの優勝、残留争いと時期が重なる現状には意見が噴出。結局、天皇杯実施委員会とJリーグ将来構想委員会で大会の抜本的な改革を検討していくという結論に達した。

 処分がなかった上に、この日は千葉への批判が間違いだったことも分かった。犬飼会長は「データがそろっていない段階で、千葉と大分という話がきた」と弁明し、Jリーグが定めるベストメンバー規定(天皇杯は対象外)を照らし合わせると磐田と仙台も違反していると指摘。はからずも、情報の集約のお粗末さを露呈することとなった。

 もっとも、犬飼会長の狙いは天皇杯の問題点に注目を集めること。厳罰発言は通らなかったが「(天皇杯について)検討してほしいから言った。言わないと誰もやらないから」。元日決勝の是非を含めて検討されるが、仮に現在の日程を変えないなら、大事な終盤戦が重複するJリーグの日程を動かすしかない。「天皇杯問題」→「Jリーグ秋開幕への移行」という犬飼会長のシナリオが、また1歩実現に近づいた。【荻島弘一】