<J1:千葉4-2東京>◇第34節◇6日◇フクアリ

 日本リーグ時代を含めて初の2部降格寸前だった千葉が、ミラクル残留を決めた。東京に2点先制される厳しい展開の中、後半29分から11分間で一気に4点を重ね、4-2で逆転勝利した。勝ち点2上回っていた15位磐田と16位東京Vがそろって負けたため、千葉が17位から勝ち点38の15位に浮上。土壇場で一気に降格圏を脱出した。東京Vは17位となり、1年でJ2へ逆戻り。16位磐田は、J2の3位仙台との入れ替え戦(10、13日)に回った。

 試合後の1分30秒が長かった。4-2の劇的勝利にも千葉イレブンは喜べない。すぐに場内の大型ビジョンで東京V戦が流れた。残留ライバルの0-2敗戦が決まり、全員が軽くガッツポーズをつくる。その直後、スタッフから「磐田はもう負けたぞ」の声がピッチ上に響き、喜びは一気に爆発した。MF下村主将は跳びはね、FW巻は目を真っ赤にしてピッチ上で大の字になった。

 「技術うんぬんを超越したゲームでした。試合後は頭が真っ白になった」。試合直後号泣した巻は、1時間たっても興奮冷めやらぬ顔で振り返った。無理もない。後半8分に2失点目を喫し、グラウンド全体で敗色ムードが充満していた。しかし同29分のFW新居の得点から、わずか11分の間に次々とゴールを重ねて逆転した。しかもライバル2チームがそろって負けてくれた。試合後のあいさつで三木社長は「みなさんほっぺたをつねってみてください。これは夢ですよ、夢」と夢心地に浸った。

 伝統を守った。前身の古河電工時代から唯一、2部リーグを経験していない名門が、がけっぷちで踏みとどまった。今季新加入でこの日、2得点したMF谷沢は「ジェフの歴史は分からないけど、伝統を守ったことは素晴らしい。続けないといけない」と胸を張った。

 今季は2分け9敗で、クゼ監督が解任され、ミラー体制がスタートした。堅守カウンターを徹底し、残りの試合を10勝6分け7敗で乗り切った。この日の全4得点もカウンターからだった。すでに来季続投が決まっているミラー監督は試合後、ロッカー室に全選手を集め「喜んでいいのは今日だけだ。オレはリーグ優勝こそが本当の成功だと思っているから」と伝えた。劇的残留を決めた千葉が、来季はミラー監督のもと、旋風を巻き起こす。【盧載鎭】