横浜から来季戦力外通告を受けたFW大島秀夫(28)が、新潟に移籍することが17日、決定的となった。国内屈指の高さと技術を誇るポストプレーヤーに対して、争奪戦が繰り広げられていたが、大島は熟慮の末に、山形時代の恩師、鈴木監督率いる新潟入りを決断した。早ければ22日にも正式契約し、移籍が発表される。

 大島は07年のJ1日本人得点王(14得点)ながら、今季推定年俸2000万円と非常に安価。ゼロ提示の選手で移籍金もかからないため、山形や神戸など8クラブが獲得に動いた。そのなかで大島は、新潟と、昨年横浜のコーチだった高橋新監督率いる柏の2つに候補を絞り、今週までに他クラブに断りの連絡を入れた。最終的には、神田強化部長が「今は大島の獲得しか考えていない」と公言する新潟の熱意にほだされ、移籍を決めた。

 新潟の鈴木監督は04年に山形の監督に就任した際、大島を絶対的エースに指名。その年のJ2得点王(22得点)に育て上げた。新潟でも大島を軸に据えたチームをつくるため、クロスに定評のあるMF松下らの慰留に努めている。

 大島はプロ1年目に所属の横浜Fが消滅。3年目には京都からゼロ提示を受けた。今回が2度目の戦力外通告だが、争奪戦となったため来季年俸の相場も推定3000万円までつり上がり、選手としての価値は逆に高まった。数奇な人生を歩むストライカーが、5クラブ目の新天地でさらなる飛躍を目指す。