浦和のフォルカー・フィンケ監督(60)が、現役高校生に英才教育する。チームは26日、宮崎市内での1次キャンプを打ち上げた。若手の台頭に手応えを得た同監督は、ユース所属のFW原口元気(17)をトップチームに専念させて強化する方針を明かした。原口は卓越した技術と脚力で、将来の日本人エースFWとして期待される逸材。ハイレベルな環境で成長を促し、V奪回の戦力に育てる。

 フィンケ監督には、原口のプレーの印象が鮮明に残っていた。宮崎合宿は11日間で約150キロを走り込み、中2日で練習試合3連戦をこなすハードな内容。そのすべてをこなした原口への評価は高かった。「ユースの試合に出すことは考えていない。今後もパフォーマンスがよくなれば、その必要もなくなる。トップチームの一員として考える」と胸の内を明かした。

 原口は177センチの上背に加えて、相手DFの裏に瞬時に抜け出すスピードと正確なシュートが持ち味。戦況を読んでポジションを変え、味方のパスをうまく引き出す。「彼も、これまで私が接してきた才能ある選手の1人」。フライブルク監督時代に数々の若手を鍛え、ドイツ代表に送り込んだ名将の腕が鳴る。

 原口は昨年5月、J公式戦に出場可能な2種登録となり、トップチームに昇格した。だが、J屈指の選手層は分厚く、出場はナビスコ杯予選の1試合だけ。活躍の場は本来のカテゴリーに限られた。今季もユース所属に変わりないが、トップに専念すれば高いレベルでもまれ、リーグ戦デビューのチャンスも増える。

 全国選手権で注目された鹿島入りするFW大迫より1学年下で、12年ロンドン五輪を目指す世代。原口は「まだ高校生レベル。トップで出場してからが勝負」と燃える。まず狙うのは、浦和史上初の「現役高校生開幕スタメン」。フィンケ監督の下で、V奪還の切り札役に挑戦する。【山下健二郎】