浦和のフォルカー・フィンケ監督(60)が、芝養生のスペシャリストと緊急会談したことが分かった。16日、さいたま市内のクラブハウスに日本協会施設委員の松本栄一氏(53)を招き、約1時間会談。年間を通じて練習場のピッチを良好に保つアドバイスを受けた。近年の浦和は主力選手の相次ぐ故障に苦しんだだけに、本拠地の練習環境を万全の状態に整えたい意向があるとみられる。

 就任1年目のフィンケ監督が取り組む「改革」の一環だった。鹿児島・指宿合宿を翌日に控えた慌ただしい中、常駐の芝管理スタッフに松本氏を加えて会談。関係者によると、2面ある練習場の芝の品種や特長、年2回の入れ替え作業などについて説明を受けた同監督は「いい状態に保つために、我々ができることがあれば教えてほしい。状況に応じて練習場所や内容を考えたい」と、今後も協力態勢を強化する考えを示したという。

 フィンケ監督が長年指揮を執ったドイツは、寒冷地で使用する冬芝が主流で、縦に長く伸びる特徴がある。一方、季節によって気候が変動する日本は、短く横に伸びる夏芝と冬芝を混合しているため、管理方法も複雑で困難。ピッチ状態が悪ければ選手の疲労も蓄積しやすく、人とボールが連動する戦術も練習できなくなる。欧州と日本の違いを理解するためにも、専門家のアドバイスが必要だったようだ。

 前日15日夜に要請を受けたという松本氏は、日本協会の施設委員。W杯日韓大会の試合会場やJヴィレッジ(福島)などの芝管理を手がける第一人者で、サッカー界では「芝の神様」と呼ばれている。同氏は「監督は芝の知識が豊富。練習場とスタジアムでの特徴の違いについても関心が高かった」と話した。

 オジェック-エンゲルス体制下では、国内戦と並行してACLを戦う過密日程で多くの故障者を抱えた。本拠地の環境整備について関係者と十分なコミュニケーションが図れていなかったのも原因の1つだった。J屈指の戦力を誇りながら6季ぶりの無冠に終わった反省を踏まえ、フィンケ流改革が「足元」から始まった。【山下健二郎】