<練習試合:東京3-1城南一和(韓国)>◇19日◇宮崎県都城市高城運動公園多目的広場◇50分ハーフ

 東京の日本代表DF長友佑都(22)が、「闘将」に変身した。19日に宮崎県都城市で行われたKリーグ城南一和との練習試合(50分ハーフ)で、度重なる敵のラフプレーに激怒。普段はおとなしい温厚な男が、前半44分に自陣ゴール前で相手に小突かれると「応戦」する気迫を見せた。11日のW杯予選オーストラリア戦では、ミスを重ねMF中村俊にしかられた長友だが、この試合を視察した日本代表大熊コーチからは、その闘志を高く評価された。

 前半44分、相次ぐラフプレーに長友が怒った。ゴール前で小突かれると、ひじを突き出して「反撃」し、食いつかんばかりに詰め寄った。同僚が仲裁に入り、自ら手を差し出して和解したが、後半10分にDF茂庭が顔面に強烈なひじ打ちを受けた。3-1で勝ったものの、試合は荒れた。温厚な性格で、試合中に激高することはめったにない長友が、「話にならない」と3度も繰り返し、顔を紅潮させた。

 そんな長友を、視察に訪れた日本代表の大熊コーチは「すごく気持ちが入っていた」と評価した。戦う気持ちこそ、岡田監督がこの1年、選手に求めてきたことだった。長友は出ていなかったが、昨年2月の東アジア選手権・中国戦では、のど輪を食らったMF鈴木を、誰も助けに行かないことを同監督が問題視した。この日の長友は相手のラフプレーに、敢然と立ち向かった。

 プレーでも成長した。オーストラリア戦では、マークが集中するFW大久保に連続でパスを出し、中村俊に一喝された。この日は「ガンガン来るんで意図的に行かなかった」とむやみなオーバーラップは控え、守備でリズムをつくり、機を見てはフリーの味方に確実にパスをつないだ。中村俊には「まだ電話してません」と、その後具体的な指導は受けていないが、課題克服に近づいているようだ。

 城福監督も代表合宿で合流の遅れた長友とMF今野が、これほど順調に合流したことはこれまでないと話す。「代表で得たものと、去年チームで結果を出せなかった悔しさから意気込みが違う」と褒めた。優しい好青年から闘将へ、長友が「変身」しつつある。【村上幸将】