<J1:鹿島2-0浦和>◇第1節◇7日◇カシマ

 王者鹿島が史上初のリーグ3連覇へ最高のスタートを切った。ホームでの開幕戦で浦和に2-0で完勝。前半22分にMF野沢拓也(27)が先制すると、後半6分に昨季得点王のFWマルキーニョス(32)が追加点を奪取した。終盤には、昨年9月20日の柏戦で左ひざに重傷を負った主将MF小笠原満男(29)が途中出場し、168日ぶりに復帰。アジアチャンピオンズリーグ制覇も含めて、盤石の態勢が整った。

 真っ赤に染まったスタジアムに、鹿島サポーターの歌声がこだました。まさに完勝。先制点の野沢が「3連覇という目標がある。昨年勝ったから、また、1からの挑戦ということで(今季も)タイトルを取りたい」と宣言すると、場内のボルテージは頂点に達した。

 難敵浦和を粉砕した。前半22分にカウンターからFWマルキーニョスのクロスを野沢が左足で巧みに押し込み、後半6分にはマルキーニョスが豪快にミドル弾を決めた。「個々の動きを分かりあっているから、あのような動きが生まれた」。昨季得点王が自画自賛する鮮やかな2得点だった。

 一見、エリート軍団に見える選手個々が経験した辛苦が、揺るぎない自信を支えている。「このチームには、みんな勲章を持って入ってくる。そこで良い時もあって悪い時も乗り越えてやっていくから、強いんだと思う」。この日、5カ月半ぶりに復帰した小笠原は、普段からそう言い切る。

 野沢は昨季、一時的に不遇の時を経験し周囲に移籍をほのめかしたこともあるという。MF本山は昨年12月末に先天性水腎症の手術を受けながら、開幕に間に合わせた。苦難を経て得た個々の心身のたくましさに、本山が「今は紅白戦が修羅場のよう。控え組も本当に強いから」と話すような下からの突き上げが加わり、盤石の強さが築かれた。

 小笠原の復帰で選手層もさらに厚みを増した。後半41分に登場すると、大歓声を浴びながらDF岩政からキャプテンマークを手渡され、短時間で鋭いFKや激しい守備など持ち味を披露。「もっと出たかったけど仕方ない。勝ててよかった」と言う主将の存在は、今後の連戦を考えれば本当に心強い。

 試合直前のミーティングでは、昨季のリーグ優勝までの戦いぶりを収めたビデオを見て「今季も同じ成功を手にしよう」とチームが1つになった。今季の目標はリーグ3連覇とアジア制覇。常勝軍団が最高の1歩を踏み出した。【菅家大輔】