<J1:山形6-2磐田>◇第1節◇7日◇ヤマハ

 まるで優勝騒ぎのように、ピッチ上歓喜の抱擁が始まった。敵地ということを忘れ、「新入生」の山形イレブンは1000人超のサポーターと一緒にガッツポーズを繰り返した。後半35分に、チーム4点目で自身J1初ゴールを挙げ、相手の戦意を喪失させたMF北村知隆(26)は「うちは守備、守備と言われるけど、はまれば(点を)取れる」と胸を張った。

 予想通り、序盤は「J1のスピード」に苦労した。磐田FWジウシーニョのキレのあるドリブルに、DF陣が翻弄(ほんろう)された。3人で囲んでも簡単に突破を許す。最終ラインが落ち着かなくなった前半17分、DFレオナルドが足をかけてPKを献上。ジウシーニョに決められ、嫌な空気が流れ始めたが、ここから崩れない「強さ」が山形にはある。

 前日6日までの、39日間に及ぶ九州キャンプで、小林監督が選手に言い続けたフレーズがある。「しのいで、粘り強く戦おう」。予算の都合上、大型選手の補強はできないチーム事情があるが、個人に頼らずグループで戦う策を、同監督が細かく指導し続けた。キャンプ中に「いい選手を集めて強いチームもある。でも強いチームにいる選手が、いい選手じゃないかな」と選手を発奮させた。

 99年にJが2部制となり、J2からの昇格組が参入した00年以降の「J1初挑戦クラブ」の開幕試合では、山形の6得点は最多となる。同監督は「しっかり守って後方からの上がりがあったからだと思う」と、得点者ではなく守備陣の「アシスト」をたたえた。粘りを信条に、勝ち取った勝ち点3。怖いもの知らずの「1年生軍団」が、勢いに乗らないわけがない。【山崎安昭】