<J1:山形6-2磐田>◇第1節◇7日◇ヤマハ

 爆勝だ、開幕首位だ!

 J1初陣の山形が名門磐田に6-2と圧勝し、これ以上ないスタートを切った。1-1の前半38分、MF古橋達弥(28)がダイビングヘッドで自身826日ぶりのJ1ゴールをゲット。シュートの際、相手選手のスパイクが顔面に当たり一時「記憶喪失」になったが、気迫のプレーがクラブ史上最多の1試合6得点を呼び込んだ。歴史的1勝で「開幕暫定首位」に立ったイレブンは、自信を胸に14日のホーム開幕戦(対名古屋)に臨む。

 ゴールの瞬間、敵地に詰めかけた1000人以上の山形サポーターの絶叫が響き渡った。J1C大阪時代の06年12月2日以来、826日ぶりのJ1得点を決めた、古橋への大歓声だ。だがヒーローは、ピクリとも動かない。アシストしたキム・ビョンスクが駆け寄っても、主将の宮沢が祝福に訪れても倒れ込んだまま。担架でピッチ外に運ばれた古橋は、流血していた。

 「どうなったのか、覚えていないんですよ」。試合後、古橋は言った。低空クロスをクリアしようとした相手選手のキックが、もろに顔面をヒット。「口の中を切ったみたい。ゴールの瞬間を覚えていないのが悔しいんですよね」と話すマスク姿が痛々しい。それでも治療を施して、口から血を流しながらピッチに戻ったド根性が、攻撃の導火線になった。

 後半18分に失点し2-2とされたが、古橋が前線でキープする時間が増え、山形にリズムが生まれた。敵陣でのプレーが多くなった30分、FW長谷川にJ1初ゴールが生まれると、ゴールラッシュが止まらない。FW北村、DFレオナルドと流れの中から、セットプレーでも面白いように得点を重ねる。クラブ史上最多得点を、J1初戦でマークするお祭り騒ぎだ。

 初陣初勝利を飾った小林監督は「15分までに失点せず、いい入り方ができたから」と分析。大勝の中にも「もう少し力強くならないといけない」と、さらなる成長を促した。それでも「終わってからは選手と喜んで握手して回りました」と大きな1勝を、満面の笑みで振り返った。古橋も「みんな気持ちが乗っていたし、いい形で崩せて点を取ったのは自信になる」と胸を張る。山形サポーターには忘れられない「3月7日の勝利」。モンテ戦士にとってはJ1で戦う自信を得た、大きな試合となった。【山崎安昭】