<J2:湘南2-1横浜FC>◇第1節◇8日◇平塚

 横浜FCのFWカズ(三浦知良)が、42歳10日のJリーグ最年長出場を果たした。開幕の湘南戦後半5分に交代出場し、東京V(当時V川崎)のラモス瑠偉が持つ41歳9カ月5日を大幅に更新。カズ自身が「未知の世界」と話した42歳でJリーグのピッチに立った。試合は1-2で敗れたものの、難波と組んだ2トップで鋭い動きも披露。J1昇格を目指して、残り50試合も全力で走り回る。

 湘南にリードを許した後半5分、23歳のFW池元に代わってカズがピッチに立った。大きな声援と拍手が42歳の「偉業」をたたえた。相手DFにプレッシャーをかけてボールを奪い、サイドから好クロスを上げる。後半44分には相手DF2人を引き付けて、FW西田のゴールを演出。寒空の中、2トップを組む難波とともに半袖で走り回った。

 「いつもと変わらない。正直言って(記録は)あまり意味がない」と、素っ気なかった。「勝てれば、気分も違っていたかもしれないけれど」と敗れたことを悔しがった。42歳で年齢が半分ほどの選手と戦っていること自体が奇跡だが、プレーするだけでは満足しない。「主力として勝利に貢献して、初めてプレーする意味がある」とも話す。

 プロ24年目、順風ばかりではなかった。神戸時代には、衰えからか体の動きが鈍った。プレーを続けるために、肉体改造を始めたのは36歳の時。専属で見ている喜熨斗フィジカルコーチ(名古屋)は「サッカーに不要な筋肉は思い切って落とした」という。一回り絞られて72キロの体重は70キロを割った。それを6年間キープ。「スーツのサイズは、まったく変わっていない」と、長持ちの秘密の一端を自らの口で明かした。

 「これじゃ、怒られる。90分出て勝ったら、ラモスさんと話がしたい」と、クラブと代表の盟友だった前記録保持者を思いながら話した。「何歳まで」という目標はない。記録のために続けるつもりもない。勝つため、J1に上がるため、そして何よりサッカーを楽しむため。「J2でダメなら、下(JFL)でやる」とも言うが、その人気と実力はJリーグに不可欠だ。「残り50試合。1試合1試合を大事に、勝利に貢献したい」。J1を目指して、まだ今季の51分の1が終わったばかりだ。【荻島弘一】