<J2:熊本2-1横浜FC>◇第2節◇14日◇ニッパ球

 

 横浜FCのFWカズ(42=三浦知良)が国内リーグ20年連続ゴールを決めた。熊本戦の前半12分、PKで今季初得点。日本リーグ時代の90年から続く記録を伸ばすとともに、自らが持つJ最年長得点者記録も、42歳と16日に更新した。通算得点数も151点になり、歴代最多の磐田FW中山(157点)に6点差に迫った。他の追随を許さぬ記録樹立で、鉄人が健在ぶりを強くアピールした。

 冷や汗の後に、歓喜の瞬間が待っていた。前半12分。カズの右足PKは、熊本GK小林の右手にとらえられた。しかし勢いのあるシュートは、グローブをはじき、ゴール左隅のネットに突き刺さった。「失敗したらどうしようとかは考えなかった。でも…危なかった」。得点後は自チームのベンチまで、ピッチを斜めに横切る歓喜のラン。こぶしを振り上げるたび、スタンドのファンの喜びも爆発した。

 チームのために、得点にこだわった。昨年は本職のFWではなくMFでの出場のみ。わずか1得点に終わった。今季は年始から「昨季の低迷は、自分が点を取れなかったことも原因」と話し、積極的にゴールを狙う決意を固めていた。樋口監督もベテランの気持ちをくむように、この日は2トップの一角で起用した。

 PKを得るファウルを受けたMF片山に駆け寄り、さらうようにボールをPKスポットに運んだ姿が、得点への意欲を示していた。「今日は三浦淳がいなかったから、試合前からオレが蹴ることになっていたから」と説明したが、PKキッカーを受け入れること自体、ここ数年はなかった。

 もちろん、守備も手を抜かなかった。相手の攻撃の際には、自陣まで駆け戻り、相手のシュートをスライディングでブロックした。激しい競り合いの中で、顔面にひじも入れられて唇を腫らしたが、その後もひるむことはなかった。「戦友」の熊本MF藤田も「カズさんはホント元気だった」と驚きを隠さなかった。

 読売クラブ時代からの20年連続ゴールにも、カズは「V川崎時代は、オレは点を取ることだけに専念すればよかった。その分、純粋にゴールを喜べたんだけどね」としみじみ話した。チームはその後逆転を許し、開幕2連敗。後半20分に退いたカズも、会場を出る際にはサポーターから「J1に上がるなんて、2度と言うな」と罵声(ばせい)も浴びた。それでも「ファンを喜ばせたい」と言う。往年のゴールラッシュがよみがえれば、罵声はすぐに称賛に変わっていくだろう。【塩畑大輔】