<J1:鹿島1-0神戸>◇第8節◇29日◇カシマ

 リーグ3連覇を目指す鹿島が神戸を1-0で下し、4日間で首位に返り咲いた。前半1分、DF岩政大樹(27)が右CKを豪快なヘディングで合わせて先制ゴールを奪取。Jクラブ最速のリーグ通算1000点目となるメモリアル弾が、過密日程を強いられるチームを勝利と首位へ導いた。

 クラブの、そしてJリーグの歴史に名を刻んだ一撃が王者を首位返り咲きへと導いた。前半1分、MF野沢の右CKを岩政が豪快なヘッドで合わせて決勝点を突き刺した。Jクラブ最速となる鹿島のリーグ1000点目のメモリアル弾。「試合前からニアを狙おうとタク(野沢)と話していた。タイミングも完ぺきだった」と笑みを浮かべた。

 秋田豊氏(現京都コーチ)の持つ鹿島DF最多得点記録「20」を、この日のゴールで上回った。「秋田さんの残してきた記録は多いけど、1つを超えられてうれしい。数字で何か1つずつ超えていかないと周りは認めてくれないから」。1000得点以上に欲しかった「秋田超え」を果たせたことが、うれしかった。

 「秋田さんはJで最高のDF。追っているところはある。秋田さんが鹿島に残してきたすべてを引き継ぎたい」と言うほど心酔している。今年2月の「秋田豊引退試合」に唯一、秋田と鹿島で同時期にプレー経験がないにもかかわらず出場したのは、背番号3を継ぐ男への期待の表れだ。

 93年5月16日、鹿島のJ初戦でジーコが挙げた先制ゴールから5827日。「当時はヴェルディのファンだったのに、なぜか鹿島の10番のユニホームを着てテレビを見ていた。そのころはプロなんて考えられなかった」。16年前のサッカー少年は、鹿島の中心的存在となるまで成長した。

 この日、日本代表スタッフが見守る中、得点だけではなく体を張って無失点に抑えたことが、大きなアピールとなる。普段から「中沢さんや闘莉王を超えるためにも、2人が果たしていない3連覇を成し遂げたい」と話している。「得点数だけでは秋田さんは評価してくれないと思うし、秋田さんへの道のりは遠い」。秋田の魂を引き継ぐ「鉄人2世」が、過密日程を強いられる鹿島の屋台骨を支える。【菅家大輔】