<J1:浦和0-0G大阪>◇第12節◇16日◇埼玉

 フォルカー・フィンケ監督(61)は、今季就任して以来、最大の喜びと手応えを感じていた。昨季1分け3敗と1度も勝てなかったG大阪を本拠地に迎えて、無得点で引き分け。リベンジを果たせなかったばかりか、首位鹿島との差が広がる結果にも、自然と笑みがこぼれる。「監督としてこんなことを言ってはいけないかもしれないが、選手たちのパフォーマンスに大変満足してます」。スコアに表れないチームの成長が、うれしかった。

 (1)後方からのゲームメーク(2)ボールを奪われた直後の守備(3)ゴール付近で全選手が役割を把握。試合前日、同監督はあえてライバルの優れた点を口にし、新生・浦和の目指すモデルチームとして挑んだ。前半7分には右後方から山田暢-阿部-原口-細貝-鈴木とパスをつないでゴールに迫ると、同36分と後半19分にはルーキーMF山田直が1・5列目から飛び出し、ポストとバーを直撃するシュート。守っては、ピッチ全域で厳しいプレスを仕掛けてパスを回させなかった。

 ただ、悔いが残るのは得点を奪えなかったこと。G大阪西野監督の「強さがない」という浦和の印象を伝え聞くと、フィンケ監督は「同業者の方(西野監督)には次回アウェーで対戦するときに、うちの若手も決定力があることを証明できればと思います」とやり返した。「審判団も素晴らしかった」「今後の選手たちの成長を楽観してます」と上機嫌。選手たちへの期待と信頼が一層膨らみ、勝ち点以上の収穫となった。【山下健二郎】