<J2:札幌3-0岐阜>◇第15節◇16日◇札幌ド

 コンサドーレ札幌が、今季ホームでの初完封勝ちを飾った。岐阜に3-0で快勝し、07年10月24日の札幌ドームでの徳島戦1-0以来となる、本拠での無失点勝利を挙げた。前節10日の徳島戦では2点リードを追い付かれて、3-3の引き分け。そこで得た課題をしっかり克服しての、今後につながる大きな白星となった。札幌ドームでの連勝をクラブ新記録となる4としての9戦負けなし。勝ち点25で暫定ながら5位に浮上した。

 試合終了まで、札幌の集中力は切れなかった。皆が体を張り、ゴールを守り抜いた。DF趙晟桓(27)は接触プレーの際に左後頭部を切った。「すごく痛かったけど我慢した」。勝利に向け、出血を抑えながら、最後までピッチに立ち続けた。90分、必死に戦ってつかんだ今季ホームでの初完封に、選手は抱き合い、歓喜の声を上げた。守備だけでなく、先制点も挙げたDF西嶋弘之(27)は「最後まで集中して0に抑えられた。チームとして成長した証し」と喜んだ。

 前半は岐阜にチャンスを与えなかった。中盤を自由にさせず、主導権を握り続けた。後半開始早々にMF岡本賢明(21)のゴールで加点し、理想的に試合を運んだ。しかし、誰ひとり、気が緩むことはなかった。前節の徳島戦、2点リードを残り16分から追い付かれた。同じ過ちを繰り返すわけにはいかない。その思いで統一されていた。

 石崎信弘監督(51)が示してきた立て直し策が奏功した。DF吉弘充志(24)は「守備はクロスを上げさせないように体を張る。攻撃はキリノとクライトン頼みでなくする。監督から言われてきたことができた試合」と言った。15日間で5試合という連戦を終え、指揮官は練習時間を短くし、疲労回復に努めてきた。その分、ピンポイントで課題を明確に示してきた。石崎監督は「データ的にも後半15分すぎからの失点が多い。そこを意識させてやってきたことで、0に抑えられた」と振り返った。

 これで9戦負けなしと、序盤の出遅れを取り返しつつある。西嶋は「チーム全体として、試合状況に合わせたプレーをしようとやってきた」と話し、吉弘は「守備のときは守備、攻撃のときは攻撃という意識がしっかりできていた」と付け加えた。目指すサッカーが浸透し、結果となり、さらに進化を遂げてきている。「第1クール残り2試合を2勝して、いい形で第2クールに入りたい」。その算段は、石崎監督の頭にしっかりできている。【砂田秀人】