<J1:広島1-0大分>◇第13節◇23日◇九石ド

 大分が広島に0-1で敗れ、泥沼のリーグ戦10連敗を喫した。クラブ史上ワーストどころか、延長戦廃止後のJ1(03年以降)ワースト記録を更新する体たらくに、サポーターも激怒。溝畑宏社長(48)がピッチに姿を現すと容赦ない罵声(ばせい)を浴びせ、同社長は泣きながら謝罪した。J1はW杯アジア最終予選のため24日に第13節の残り4試合を行った後は一時中断。第14節は6月20日から始まる。

 溝畑社長が火に油を注いでしまった。泥沼10連敗にもかかわらず、選手に温かい拍手を送っていた大分サポーターが態度をひょう変させた。選手が引き揚げた後、溝畑社長がピッチに現れて謝罪すると「辞めろ!」「恥ずかしいんだよ!」「こっちに来て説明しろよ!」「何だよその態度は!」と怒号を飛ばし始めた。

 溝畑社長は要求されるまま、原強化部長を伴ってサポーター約300人が居残ったスタンド前に移動。今度は号泣しながら頭を下げた。「監督やフロントと引き続き話し合いをして立て直します。申し訳ありませんでした」と震える声で話したが、罵声(ばせい)の嵐にかき消された。

 サポーターのリーダー格の1人は「今日はひどかった。選手は頑張ったけど、社長が出てきたんで言いたいことを言わせてもらった。もう耐えられなかった」と悲痛な声で訴えた。ついに堪忍袋が切れた形だ。

 クラブはナビスコ杯予選リーグ横浜戦翌日の31日に、大分市内で説明会を開く。チームの現状や今後の対応についてサポーターやファンと意見交換する予定だ。溝畑社長は「説明責任があるので考えをはっきり話します。監督は一生懸命頑張っているが結果が出ないだけ。修羅場はこれまでもあった。トリニータはまだ死んでいない。残り21試合で勝ち点34か35は最低でも取りたい。今、変化が必要だが、どういう方法がベストか考えていきたい」と語った。大分で初のキャプテンマークをつけたGK西川は「サポーターの怒りは分かります。身に染みて感じる」と肩を落としていた。【菊川光一】