<J1:鹿島1-0磐田>◇第14節◇20日◇カシマ

 W杯予選のため中断していたJ1が約1カ月ぶりに再開し、日本代表勢が活躍を見せた。

 点取り屋としての実力をあらためて知らしめた。鹿島は前半38分、野沢の左サイドからのクロスに対し、FW興梠慎三(22)がゴール正面でスライディングしながら左太ももで押し込んだ。5月16日の柏戦以来、35日ぶりの公式戦ゴールは値千金の決勝弾。「結果がついてきてよかった」と笑顔で振り返った。

 50メートル5秒台の天性の速さが輝いた。「(野沢)拓さんのアシストのおかげ。拓さんが(クロスの前に)1つ間を置いてくれたから、GKとDFの間に入れた」。ペナルティーエリア内に入って1度減速。次の瞬間にスピードを上げてマークを振り切り、スペースを突いてゴールにつなげた。

 約1カ月の代表帯同は歯がゆい時間の連続だった。5月19日のACL上海申花戦で右胸部を打撲した影響で序盤は別メニュー調整が続き、W杯出場を決めた6日のウズベキスタン戦はベンチ外。「消化試合」となった10日のカタール戦、17日のオーストラリア戦も途中出場で「達成感はない。悔しい思いもした。自分が出られなかったから…」とポツリとこぼした。

 控え組として調整法にも苦しんだ。試合に出なくても練習内容は先発組と同じ軽いもの。「体調を上げたかったから、練習のない午前中は代表のトレーナーに頼んで筋トレをしていました」。この日も万全の動きではなかったが、「予想通り動けなかったけど、先発で出るとやりきった感がある」と充実感を表した。

 W杯まで1年。競争は激しくなる。「代表の悔しさは代表で晴らしたい。Jリーグで活躍しないと代表に呼ばれないと思うので、まずはチームで頑張る」。入団から続くホームで得点すると負けない「不敗神話」を14に伸ばし、チームの単独首位キープにも貢献した。ゴールを積み上げた先には必ず南アフリカのピッチがあるはずだ。【菅家大輔】