浦和のフォルカー・フィンケ監督(61)が5日、MF三都主アレサンドロ(32)の名古屋移籍に関するDF闘莉王(28)の反発などに反撃した。さいたま市内の大原グラウンドでの練習後に急きょ会見を開き、移籍の裏事情を明かした。また、現在は世代交代に取り組んでいることを強調し、「常勝」を期待する周囲に理解を求めるなど、およそ1時間にわたって話し続けた。

 突然だった。約1時間の練習後、フィンケ監督がチーム関係者を通じて「報道陣を集めてほしい。三都主の移籍に関して話がある。15分で終わるから」と、クラブハウスの一室に報道陣を集めた。

 フィンケ監督

 私が三都主を冷遇した事実はない。彼は長くケガをして、来年の契約を考えた時に、私は「もう少し様子を見たい」と言った。そこへ名古屋からオファーがきた。最初は6カ月のオファーだったため、私から断った。その後、18カ月のオファーがきた。うちに残ってほしかったけれど、彼のこと、家族のことを考えて許可した。これ以上、私のことを悪く書かないでほしい。

 三都主の名古屋移籍をめぐっては、闘莉王が不満を爆発させた。チーム内がゴタゴタし、不信感がまん延すると、今後の成績にも影響する。さらに状況が悪化すると、自分の去就問題にまで発展する恐れもある。きちっと反論しておく必要があると判断し、口を開いた。「この問題は鈴木、阿部、坪井、山田暢、細貝には伝える」と、全体練習が再開される10日には選手の代表者にも伝え、収束させるつもりだ。

 会見は、三都主問題だけで終わらなかった。名指しこそしなかったが、3日に闘莉王が「レッズは優勝しなきゃいけないチーム」と発言したことに反論するかのように、現在は世代交代途上にあることを強調。「サッカーは自分の望む曲をすべて演奏してくれるオーケストラとは違う」など、まるでオシム語録のような言い回しで、常勝を求める周囲に反発した。

 フィンケ監督

 もちろん私も優勝を狙っている。でも、「優勝しないといけないチーム」という話にはある意味、しっかり現実を見極めることが大事だ。レッズは優勝まで13年かかったし、それも1回だけ。私は7位のチームを引き受け、世代交代で将来のことを考えている。優勝まで1、2年、時間はかかる。

 現在、勝ち点34の4位。14試合を残して首位鹿島とは10差、離されている。優勝をあきらめたような発言は就任後初めてで、確かに数字的には厳しい。ただ、シーズンはまだ3分の1以上残っている。新たな火種にならなければいいが。【盧載鎭】