経営難により経営パートナーを探している東京Vが、来季から新会社を経営母体として運営していく準備を進めていることが27日、分かった。すでに7月7日、ユース出身者らを取締役として「東京ヴェルディホールディングス株式会社」(東京・渋谷区)を設立し、来季からのクラブ経営を目指して準備を進めてきた。今後は、長期にわたってクラブを運営できる経営基盤を確立できるかが焦点となる。

 東京Vの経営問題が新展開を迎えている。ユース出身者らが中心となって、7月7日に新会社「東京ヴェルディホールディングス株式会社」を設立。来季からのクラブ経営に関して、具体的な計画を進めてきた。

 計画では、この新会社が、現在の親会社である日本テレビからクラブ株式の過半数を取得し、スポンサーを募るなどして集めた資金でクラブを経営していくという。当面は日本テレビも数%程度の株式を保有し続ける見込み。

 これら内容は、すでに東京Vを通じてJリーグにも報告された。Jクラブでは、ホールディング会社(持ち株会社)が経営する形は初めてとなる。Jリーグでは今後、近日中にも新会社から示される具体的な計画を基にして経営基盤や内容を検討していく。Jリーグとすれば、経営の安定性を求めており、新会社とやりとりしながら慎重に進めていくことになりそうだ。順調ならば、9月上旬に経営諮問委員会に諮り、同15日の理事会で正式承認という流れになる。

 東京Vの経営問題は昨年からの懸案事項だった。日本テレビはクラブ経営から撤退すべく経営パートナーを探してきた。元日本代表MF中田英寿氏(32)が所属するサニーサイドアップや、OBが役員を務める株式会社協同などと交渉を進めてきた。協同との交渉は大詰めまで進んだものの、最終的には金銭的な条件で折り合わなかった。世界的な不況もあり、既存企業が引き受ける形は難しかった。

 ただ、日本テレビの撤退方針は固く、新しい経営会社が見つからなければ歴史ある名門クラブの消滅という最悪の事態に陥る可能性が高い。Jから退会する場合、Jリーグ規約第20条の4に「9月30日までに申請しなければならない」と明記されており、来月中が決着へ向けて1つのメドとなる。東京Vの存続とともに、ホールディング会社のクラブ経営という新しい形も注目される。